飛蜜 ４ ページ4
「変じゃない？」
「はいはい」
「もー！見てないでしょ！！」
全身鏡の前で、後ろ姿を確認したり。髪整えたり。ふわっと揺れた、シフォンのスカート。
お母さんは私をチラッと見ただけ。まぁ、いつも飛貴の家に行くときこんな感じだから、咎めたってしょーがない。
日曜日。二人の時間が合い、今から勉強を教わることになった。薄く施したメイク。いつもストレートの髪は、綺麗に巻いて。
多分、飛貴は違いわからないだろうけど。良いの。自己満足。好きな人の前では、可愛くいたいってヤツ。
「行ってきまーす」
「遅くならないうちに帰るのよ〜」
バタン、と閉まったドア。ジリジリした日差しが照りつけた。
ー「お茶と紅茶どっちがい？」
「うーん。紅茶で！」
「はーい。持ってくるね」
テーブルには、大嫌いな数学の教科書とノート。飛貴が部屋を後にした瞬間、全身の力が抜けてタオルで汗を拭った。
相変わらず広い部屋。グレーの布団がかけられてるベッド。いつもここで寝てるんだ……なんて変なコト考えてしまう。ゴメンナサイ。
何度も来ているのに、キョロキョロ見渡していれば。目についたのは、ファイルからのぞく──「希望進路調査票」の文字。
釘付けになった。秋に提出するものだ。私はもちろん、まだ白紙。
無意識に、手が伸びた。整理された机の上。なぜかそのプリントだけが、大きく見えて。ドクドクと、心臓が脈打つ。
抜き取った紙。第一志望、前話していたアメリカのＫ大学。第二志望、第三志望は。都内の有名な国立大学で。
「……え」
思わず声が漏れた。だって、てっきり大学は向こうだと思ってたから。
これだったら。これだったら。浮かぶどす黒い感情。本当に、汚い。
落ちちゃえば良いんだ。
「はい、お待たせ。いつものミルクティーで良かった？」
「っ！！ぁ、うん！ありがとう！」
不意に飛貴が戻ってきて。私は慌ててプリントを元に戻し、不自然なくらいきちんと座る。
Tシャツからあらわになった二の腕は、いつの間にかしっかりと筋肉がついていて。隣に来ると、いつもの優しい香りがした。
コトンと置かれた、ピンクのグラス。脳内にこびりついてる、綺麗な字で書かれた大学名。飛貴を見れば、ニコニコしながらテキストをめくっていて。
「……なん、で飛貴は、Ｋ大学に行きたいの？」
掠れた声が、問いかける。
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ミント(プロフ) - どのお話もとても素敵で、短編なのに引き込まれる世界観が大好きでした！おつかれさまでした！ (2019年1月14日 15時) (
レス) id: e20fb3d910 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - 私の大好きなマジョマリがまた読めるなんて感激です（ ｉ _ ｉ ）楽しみです！頑張ってください！ (2019年1月1日 2時) (レス) id: f9588c4e4d (このIDを非表示/違反報告)
真優(プロフ) - ゆうぴのお話で、ゆうぴが一個上の先輩で、主人公が後輩の関係で直接会うとあまり話せないけどラインとかだと話せるみたいな仲でクリスマスに後輩が告白する的なものが読みたいです！ (2018年12月24日 2時) (レス) id: f8f4960291 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - お忙しい中お返事ありがとうございます(TT)！わぁ、そうだったんですね…！どれも素敵なお話だったので残念で寂しいですが、お返事頂けて嬉しかったです！これからも楽しみに読ませて頂きます☆ (2018年11月22日 22時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！いつもありがとうございます(*^^*)実はDeuxの方削除してしまいました……。もし好きな作品だったら本当に申し訳ないです(；_；) (2018年11月21日 19時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_lovers98)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=...
作成日時：2018年5月25日 17時
