愛の行方 【JW赤×緑】

▷ 40 ページ40

前の信号が赤に光ったことを認識し、安全に停車できるようアクセルから足を離す。

緩やかに落ちていくスピードと、前方の車両の距離を考えながらブレーキを踏み、安全に停車。


いつもの何倍もの安全運転だ。
なんてったって今日は神ちゃんが隣に居るのだから。


会社からの道はいつも送り迎えしていたけれど今は普段の倍くらいの距離。

別に会話は滞りない。
他の人から見れば特に気まづさは感じられない仲のいい友人のドライブに見えるだろう。

だけど俺らは、俺らのことは1番自分たちが分かってる

神ちゃんが癖になっている前髪いじりを1回もしないのも、俺が大きな声で笑っていないのも緊張している証拠


お互い、どこか気まづさと緊張を感じている


それは間違いなく昨晩の神ちゃんからの言葉が原因。

期待をしているのもあるしやっぱダメだったと振られる怖さもある。
しかも今は2人っきり。言い出すにはもってこいのこの状況

まぁ昨日の今日だし直ぐには言われないだろうと頭ではわかっているが、怖いものは怖い

神ちゃんも…きっと同じような事を考えてる。


「もー着くで」
緑「んー」


長いこと車を走らせると見えてきたのは見慣れたコンビニ。
神ちゃん家のすぐ近く。

景色を見ていたし寝てもなかったから神ちゃんだって分かっていたはずなのにわざわざそんな事を言ってしまう辺、やっぱり俺はどっか緊張しているらしい。

ゆっくりスピードを落とし停車
何事もなく着いてよかったと言う気持ちとまだ一緒にいたいって気持ちが広がるけれどそれを必死に押し込んだ


「着いたで神ちゃん」
緑「ぁ、はや、
ありがと〜」


はっとしてシートベルトを外す。

そのまま降りるかと思いきや神ちゃんはじ、っと動かない。
何かあったかと神ちゃんの顔を覗き込めば同じく俺に向いた瞳。

何度も見てきているその目の美しさに、思わず息を飲んだ


緑「しげ。わがまま言っていい？」
「いいけど…どしたん？」
緑「うち寄ってって」

緑「もうちょっとだけ」


その続きが紡がれることは無かったけれど何となくわかる

音を立て始める心拍は俺のものか神ちゃんのものなのか。


ハザードランプの無機質な音が酷くうるさく感じれた

▷ 41→←▷ 39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す