ボールに込めて。【柳田将洋】

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あなたside

駅で前田くんと分かれて、バス停まで歩く。

さくらは気を使って別に帰ってくれた。

ちょうど、ひとりになりたかった。


寒い。


心臓もぷるぷると震えてる。

小泉さん。

将洋くんは、やっぱりあんな綺麗な人じゃなきゃ嫌なのかな。

むしろ、並んだら釣り合う。

ほんとに泣いた。

ずっとずっと。

家に帰っても疲れきって動けない。

ベッドの上で寝転がる。

結局、その程度だったんだ。



同じ展覧会に出展されて

帰り送ってもらって

好きになって

メアド交換して

嬉しくて泣いて

練習試合見て

やっぱかっこいいなって思って

その人にはお似合いの人がいて




本当に本当のその程度なんだって思い知らされた気分。

あのざわつき方ならマスコミとかにも報道されたのかな。

柳田選手に彼女発覚。




自分で考えて笑えてきた。



考えるのやめよう。







って思っても無理な訳で。

ちらりちらりと、

度々見せた柳田くんの笑顔が、脳内にこびりついて剥がれない。

私、なんて人好きになっちゃったんだろう。




そう思ってると、


ppppppppppppp


着信音。

出たくない。

その気分で、ベッドの上で寝転がったままうずくまっていた。


画面の文字を見ることなく。





《 不在着信 柳田将洋 》

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