ボールに込めて。【柳田将洋】

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柳田side

試合中、考えていたのは裕希の最後の言葉。

《 じゃー俺これ終わったら告白するんで 》

さらっと言った一言。

告白って。

もし、Aが裕希と付き合ったら。

そんな事考えたら試合どころじゃないような気がしてきた。

だけど、相手は運悪く俺を狙う。

その度に、試合前に目が合った時のAを思い出す。

眉毛を八の字に曲げてしっかりと俺を見てた。

パチッ

と音でもするかのようにバッチリ目が合った。

凄く凄く、可愛かった。

応援してくれてんのかな。って考えるとやっぱ試合ちゃんとしなくちゃって思える。

接戦は続き続き最後のセットになった。

5セット目の始まりの笛がなると、最初のサーブは清水さん。

安定の鋭いサーブで相手は崩れる。

だが、つけこまれてしっかりとアタックされた。

今は、完全に中国の流れ。

どうにかして日本の流れにしないと。

そう思ってるうちに8:7 で負けている状態でコートチェンジ。

俺のサーブになった。

ふぅっとため息をついて狙いを定め、ボールを上げる。

走り込んで、打つ。

決まった。

そう思ったけど、相手はきちんと対応してきて、アタックしやすいようにトスを上げる。

そして、アタックエースがボールに飛びつく。


その時
アタックエースと、目が合った。



狙われる。


そう思った時には遅くて、目の前にボールが来ていた。

速い。

その一心で受け止めるために体がのけぞる。

足が支えきれなくて尻もちをつく。

トスッ

という音とともに俺がひっくり返ると、

他にも嫌な音がした。





足が、痛い。




足が不自然な方向に曲がった。

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