ボールに込めて。【柳田将洋】

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柳田side

俺は、いま全日本バレーの練習試合前ということでほんっとうに緊張している。

新メンバーも加わり新生チームで挑むのは初めて。

裕希は初めての全日本のはずなのに、俺よりもリラックスしてる。

ていうかそんな事より気になるのは、裕希がAの事をどう思ってるのか。

イヤホンから流れる音楽は頭のてっぺんを突き抜ける。

すると、とんっと背中を押された。

裕希だ。

石川「緊張、してるの？」

柳田「まぁ」

石川「らしくないですね、あはは」

柳田「お前はずいぶん余裕そうだな」

石川「いやいやいや！凄い緊張してますよ」

そういう裕希の顔は満面の笑みで。

すこし嫉妬した。

石川「来るんですか？山口さん」

ドキッ

びっくりしてギュンっと背筋が伸びる。

石川「図星…かな？」

柳田「…」

石川「無視ですか笑」

柳田「来るけど」

石川「ですよね笑」

裕希の長いまつげが下でそっと揺れた。

その顔を見て、あぁ、好きなんだなって。

Aのこと、好きなんだなって。

隠そうとしてくれてるんだけど、その切なげな顔はどうも心境を表してる。



柳田「裕希も、好きだよね」

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