ボールに込めて。【柳田将洋】

番外編 め が ね ページ36

智樹side

つぎの日の大学で、俺はさっそく出会ってしまった。

小泉灯とやらに。

向かい側から少し派手目な3人組が来たのは見えてたけど、あんなにわざとらしくぶつかることなんてあるのかな。

将洋は相変わらず気づいてなかったみたいでぶつかったことに対して驚いている。

小泉「柳田くん、ですよね？」

その言い方がもう狙ってる感満載。

山口さん以外の女の人に対しては本当に無反応で興味なさげな将洋はそうですけど、とか、はい、とか短く返事をしている。

必死な山峯さんの顔も脳内をちらついてこの場を回避しなくちゃ行けないなという考えが浮かぶ。

咄嗟に思いついたのは

智樹「ほら、望と淳！おーい！」

という言葉。

ほんとは淳も望もいなかった。

目の前にあったトイレに将洋の腕を引いて駆け込んだ。

二人とも全力疾走で息が切れている。

智樹「お前、モテんだから、はぁはぁ」

柳田「いや、はぁはぁ」

俺が言っても将洋は辛そうにくびをふるだけ。

柳田「ごめ、ありがと」

将洋のお礼に対して俺がおうと口にすると将洋は俺をちらっと見た。


柳田「可愛かった、よなぁ」

そしてこうぼそっと呟いた。

柳田「無理だ。俺、A以外考えらんない」


将洋がこの時どういう心境でそういったのかは誰にもわからない。

だけど、ただひとつわかるのは、将洋は山口さんが大好きなんだってこと。

その言葉を早く山口さんにきかしてあげたい。

二人がくっつくのはまだ先の話だけれど、

もう、思いは通じていたから。


fin

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