ボールに込めて。【柳田将洋】

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あなたside

だめだ、あふれる。

そう思った時には遅くて、涙の今日二回目の洪水が起きる。

こんなにも泣いてたらだめだ。苦しいよ。って思うくらい。

柳田「泣いてるの？」

そういい、将洋くんが私の前に膝まづく。

幼稚園生をなだめてるお兄ちゃん見たい。

そんなあなたが大好きで泣いてます。なんて言えるはずもなくて、ただただ将洋くんを見つめていた。


そっと、将洋くんの手が私の頬に触れて包み込む。

親指で涙を拭う。

『ごめ…』

息がつまり言葉にできない。

将洋くんは無言で私の涙を拭い続ける。

大きな手が私の顔に触れてる。

暖かくて心地よくて、安心する。

こんなに好きになっちゃいけない。

もう、好きにさせないで欲しい。

これ以上私を苦しめないで欲しい。

言葉にできない悔しさもあり、なんとも言えないもやもやが心の中を駆け回る。

柳田「家まで送るから」

将洋くんは私の頭をぽんぽんと撫でて、ついてくるように合図した。

ぽんぽんと撫でられた所を自分で愛しそうに撫でながらついていく。

きっと、将洋くんの車だと思う。

涙で滲んで見えないけど、将洋くんが扉を開けてくれた。

ぺこっと頭を下げて乗り込む。





ふんわりと甘いずっぱい香りがした。

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