それでも構わない (ページ34)

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３３話ページ34

Aside

A「どーぞー」

健人「あ、ありがとうございます」

健人に紅茶を差し出す

健人「あちゃっ、」

A「ごめん笑熱かった？」

健人「いや、大丈夫です」

A「そ、っか」

健人の前に座って、私もお茶を飲む

A「あちっ」

健人「やっぱ、熱いです笑」

A「へへ笑そうみたいだね」

会話が弾まない

この部屋に響くのは、お茶をすする音だけ

A「ねぇ、スーパーの…シフト、おしえ、て？」

健人「…っ////わ、わかりました、！」

健人は、メモ帳を取り出して、書き始めた

健人「はい、これ１２月分」

A「ありがと。え、ほとんど毎日！？」

健人「はい笑就職決まるまでは」

A「そうだよね、就活か…」

２度目の就活。

どんな気持ちかな？

A「健人…２回目の就活ってどう？」

健人「別に、普通ですよ笑旦那さんにも聞いてみたらどうですか？」

A「旦那？」

勝利？なんで？

あ、就活２回目か、勝利も

A「私は、健人の話が聞きたい」

健人「……嫌です。めんどくさいです。やめたいです」

A「ごめんね、色々きいちゃっt…」

健人「恋人もできないです。忘れられない人がいるからです。結婚したいんです。だけど、無理なんです。だって、その人は」

私の目を見て

健人「結婚してるからです」

と、言った

健人「俺、帰ります」

玄関で靴をはく健人を、ぼーっと眺める

頭がついてかない

健人「さよなら」

健人の腕を確かに掴んだのは私

健人「へっ？」

A「行っちゃ…やだ」

健人「行きます、帰ります」

振り払おうとする健人の力はやっぱり男の人

振り払われる前に、行動した

後悔はしたくないから

健人「ふぇっ！？」

A「んっ、」

背伸びして、やっと届いた

私から誘ったくせに、あっという間に健人のペース

リップ音が響いている

何度も何度も重ね合う唇

何度も何度も重なっていく罪

２人のあいだを、銀の糸が繋がった

健人「ご、ごめんなさい！さよなら！」

出ていく健人を引き止めず、見送った

･

鳴り止まない携帯

いつから、かかってきていたのだろうか