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階段を上りきり、視界が開けた。
目の前には椅子が倒れ、所々に食器が散らかった、荒れたレストランが広がる。しかし、人はほとんどいない。Aが上手くやってくれたらしい。
上ってきた非常階段とは別の階段に目を向けると、そこにはいつも教室で見かける茶髪。Aが振り返って目が合った。
彼女はコクリと首を縦に降ったので、サンキューの意味を込めて頷き返しておいた。
Aが階段を降りていったのを見送り、レストランの中心に立ってジョディさんをオレの背に隠す。そして、階段を上がって来たスネイクと向かい合った。
「フフフ……きさまらにはもう逃げ場は無い」
煤けているうえに左肩からプスプス煙を上げながら、スネイクはオレとジョディさんに銃を向けた。
「さあ渡すんだ。その青い宝石を……」
凄むスネイクに、オレはフっと不敵な笑みを向けた。
「彼女の宝石は、あなた達が探してるパンドラじゃない……それに、逃げ場がないのはあなたの方だ」
「なにぃ！？」
インカムでAに頼む、と一言。短い返事が聞こえた直後、床がガタッと音を立てた。
先程まで穏やかにゆったり回っていたレストランは、限界をゆうに超えた速度でゴオオオと音を立てながら回り始めた。
中心にたっているオレたちにはそこまで影響がないが、オレたちよりレストランの外側に立っていたスネイクはそうはいかない。スネイクは遠心力によって後ろに引っ張られた。
「な！？」
奴は慌てて近くにあった机に手を置いてバランスを保とうとするが、その机も固定されたものではない。奴は机もろとも遠心力によって円の外側、レストランの窓に吹き飛ばされ、叩きつけられた。
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作者名：もへじ | 作成日時：2023年7月3日 0時
