舞台袖から-3 ② (ページ31)

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ホテルの廊下の映像には、白い男とそれを追う3人の警察の姿が映っている。

白い男は走りながら、ジャケットの中から何かを取りだした。そしてそのまま上半身を捻って後ろを振り返り、それを使った。

私は思わず顔を顰めた。

中森警部が驚いた様子で座り込む。

後ろからおっていた2人が慌てて警部に駆け寄る。警部の足元では小さく煙が上がっていた。

白い男は、偽キッドは発砲したのだ。

本物のキッドはそんなことしないのに。イメージダウンも甚だしいのでやめて頂きたい。

やれやれと思っているとインカムから音が鳴った。どうやらこちらも始めるらしい。

『今からそっちに行く。撃たれてるから、避難頼む！！』

「りょーかい。警部さんたちは下に向かったし非常階段には誰もいないから、そっちからお願い」

彼は舞台裏でジョディさんを襲った男から彼女を守り、そして予定通り、そのままジョディさんを連れてこちらに駆け上がってくるそうだ。

彼が引き連れてくる奴は銃を撃っているそうなので、できるだけ人が少ないルートの方がいい。声を潜めながら、インカムの先の黒羽くんに人のいないルートを伝えておく。

黒羽くんは私が言った通りに非常階段から上がってくるらしい。後は、このレストランにいる人たちを非常階段以外のルートで逃がすだけだ。

伝票を持って立ち上がり、そのままお会計。財布を片付けて店員さんに一応声をかけておく。

「非常階段、見てもいいですか？」

不思議そうな顔をされたが、特に非常階段の方に行くことに問題はないらしい。

普通に許可してくれたので、一言お礼を言ってから非常階段の方へ向かう。

向かう途中でカトラリーがセットされた机からナイフを1本こっそり拝借しておく。ナイフがバレるかヒヤヒヤしたが、難なく非常階段まで来れたので、杞憂に終わった。