舞台袖から-3 ② (ページ28)

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その後、もう少し色々と黒羽くんと話し合った。

1度解散して準備をしてから各々で港ホテル向かうと決まり、カウンターの上のパソコンを鞄に入れようとしてした時に、黒羽くんは思い出したような声を出した。

「Aに渡すもんがあるんだった」
「渡すもの……？」

彼が私に渡すものなんてUSBメモリぐらいしかないが、一体なんだろうか。

「ジイちゃん、頼む」
「かしこまりました」

どうやら状況をよく理解していないのは私だけらしい。寺井さんは黒羽くんに言われてそのままカウンターの裏へと行ってしまった。

黒羽くんから私に、しかも寺井さんが持ってくるものなんて、やはりUSBメモリぐらいしか思いつかない。しかしそれは今私の手元にあるので、何を渡されるのか皆目見当もつかない。

寺井さんは意外にすぐ戻ってきた。そしてそのまま私にあるものを差し出した。私はそれを見て思わず息を飲んだ。

「これ……」

寺井さんの手の上で鈍い光を放つそれは、何度か見たことがあるものとよく似ていた。

驚いて、カウンターチェアーに座る黒羽くんの顔を勢いよく見上げた。

「ワイヤー銃だ。ちなみに、見た目はこれと似た感じにしてもらった」

そう言って黒羽くんはどこからともなく取り出したトランプ銃を、器用にクルクルと回した。

寺井さんが私に差し出してきたものはキッドのトランプ銃とよく似たデザインの銃だった。銃と言っても、銃身の形から銃弾が出る銃でないことはすぐにわかった。

しかしそれを急に見せられ、しかもキッドのトランプ銃と似たデザインなのだ。驚かないはずがなかった。