舞台袖から-3 ② (ページ26)

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ブルーパロットで待つこと1時間。

今朝メッセージアプリで指定された時間の10分前に私はやってきたのだが、時間指定した本人がまだ来ていないのだ。

寺井さんが出してくれた珈琲はとうの昔に飲みきった。やることもなくて、グラスを磨く寺井さんの様子をぼーっと眺めていると、カランカランとドアベルがなった。

「わりーわりー、ちょっと遅くなった」

全くちょっとではない遅刻をかました黒羽くんを半目で迎えてあげる。

「随分お楽しみだったみたいだね」
「悪かったって」

腹が立つので、少し嫌味な言い方で言ったが、彼には何も響かなかったらしい。さらっと流されてしまった。

「そうだ、奴ら、やっぱりあの宝石を狙ってる見てーだぜ」

寺井さんが出してくれた珈琲にドボドボとミルクと砂糖を入れながら黒羽くんはそう言った。

砂糖でジャリジャリしてそうなそれを眺めながら、甘さを想像して、私は顔をしかめる。甘いものは好きだが、流石にあれは甘すぎて飲めなさそうだ。珈琲はやっばりブラックがいい。

で、何の話だったか……そうだ組織の奴らだ。

「じゃあ、やっぱり守らなきゃか……どうするの？」
「近くで守るつもり」

黒羽くんの作戦はこうだ。

予めディナーショーが始まる前にホッパー奇術団のマジシャンの1人に変装しておく。そして、ショーが始まった後は、出番以外はできる限り宝石を持つジョディさんの近くで彼女と宝石を守る。

奴らは発砲してくる可能性が高いが、それはどうするのかと尋ねると、彼は予め防弾チョッキを身につけておくと答えた。