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許すつもりはないが、とりあえず言い訳ぐらい聞いてあげようと思う。
黒羽くんになぜ突然やめにすると言い出したのか尋ねると、彼は私の顔色をうかがいながら、おずおずと答え始めた。そんなことをするくらいなら中止にしなければ良いのに。
「
「マジック？」
真剣な表情になって言う黒羽くんを見る限り、どうやらふざけた理由ではないらしい。
「あの宝石は、反射角を利用した仕掛けがされてて……」
言いながら黒羽くんは、私が持ってきたUSBメモリをパソコンに差し込んで赤い涙の画像を開く。そして、羽の生えた悪魔みたいな、ドラゴンみたいな、赤い涙のジュエリークリップの頭にある星の部分を指さした。
「ここに火をあてると、宝石を通って反射した光が、天井にいっぱいに思い出の写真を映し出すってわけだ」
「へぇ、すごい。そんな仕掛けあるんだ……」
聞いたこともない仕掛けに、さっきまで怒っていたことなんてすっかり忘れて、純粋に感心する。
火を使うから、サファイアではなく赤を連想させるルビーで赤い涙というらしい。
そういうわけで、赤い涙は月にかざすと赤く光るパンドラではないと。だから今回はやめにするということになったらしい。
怒りもさっき収まってしまったし、そういう理由ならしょうがないかと諦める。
どうせならもっと早く思い出してほしかったが、黒羽くん曰くお父さんから聞いた話らしいので、もう8年以上前の話なので忘れていても仕方ない。
無駄になってしまったUSBメモリのデータを、やれやれと思いながら消そうと右クリックしたとき、黒羽くんが制止した。
「ああ、それは使うかもしれねーから消さなくていいぜ」
「へ？」
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作者名：もへじ | 作成日時：2023年7月3日 0時
