4-01 赤い涙 ページ19
「ホッパー奇術団？」
次の獲物だと言って見せられたスマホの画面に映るのは、ホッパー奇術団という名の奇術団のホームページで、宝石とは全く関係なさそうなものだった。
この奇術団と宝石にどう関係があるのか分からず、とりあえず目に着いた名前だけを読み上げてみたが、分からないものは分からないままである。
不思議な顔をうかべる私に黒羽くんは察したらしく、教えてくれた。
「ここの団長のジョディ・ホッパーって人が世界最大のルビーを持ってんだよ」
「ああ、なるほど、それを狙うってこと」
「そゆこと」
黒羽くんはそう言った後、ついでだからとホッパー奇術団とジョディさんについて少し教えてくれた。
そもホッパー奇術団は、ジョディさんのおじいさんが作った奇術団で、そしてそのおじいさんはジェームズ・ホッパーというイギリスで最も偉大なマジシャンだったらしい。
「ま、オレのおやじが世界一だけどな！！」
最後に誇らしげにそう言って彼はホッパー奇術団の話を終わらせた。彼はそのままお父さんの話を始めたので適当にはいはいと流す。
彼のお父さん自慢は正体を明かしあった後日、散々聞かされてもうお腹いっぱいどころか胃もたれしているのだ。
それに、この話になると寺井さんもノリノリで話始めて私は蚊帳の外に出されるので軽く流す位で丁度いいと思う。
盛り上がり始めた黒羽くんと寺井さんを傍目に、ホッパー奇術団のホームページに載っていたジョディさんの写真を見る。
写真に映る彼女は舞台衣装であろう黒いスーツに身を包んでおり、その胸元には大きな青い宝石が輝いている。青く光るそれを見て、ん？と疑問を抱いた。
「ルビーなんだよね？ なんで赤じゃないんだろう」
「そういえば青いな。なんでだ？」
お父さん自慢を続ける黒羽くんに首を傾げながら尋ねると、彼は話を切り上げて同じように首を傾げた。
「黒羽くんも知らないんかい」と心の中で小さくツッコミを入れておいた。
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作者名：もへじ | 作成日時：2023年7月3日 0時
