舞台袖から-3 ② (ページ15)

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父さんが消息不明になった理由を知りたくて始めたパンドラ探し。

始めたても今も、全く不安が無いかと言えば嘘になる。

父さんすら見つけられなかったパンドラを私が見つけられる保証なんてない。さらに見つけたところで、父さんがそれを探していた理由や消息を絶った理由がわかるとも限らない。

拭っても拭っても消えない漠然とした不安は、私の中でずっと、しこりみたいに残っていた。

「私も、越えられるかな」

口をついて出た声は少し震えていた。

「父さんが見つけられなかったパンドラを、私が見つけられるのかな」

黒羽くんがふっと力を抜く。

青い瞳はほんの少しだけ細められ、彼の口角も少し上がった。

「見つけられるさ」

そういった後、彼は再びその瞳で真っ直ぐに私を貫いて、言った。

「オレと芦原なら、絶対に」

ドクンと、強く胸が高鳴った。

私なら、いや、私と黒羽くんなら絶対にパンドラを見つけられる。

初めて自信を持って、心の底からそう思えた。

怪盗キッド基、黒羽くんと協力し始めて早数ヶ月。

そんなつもりはなかったが、どこかで私は彼がパンドラ見つけてくれると、彼の近くに入れば自ずと謎は解けて父さんも見つかると、そう思っていたのかもしれない。心のどこかで私は、彼のショーを見ている観客気分だったのかもしれない。

でも彼は、そんな私を引き上げた。どこまでも真っ直ぐに私を貫く青い、青い瞳で。観客席から舞台の側へと私を引き上げたのだった。