舞台袖から-3 ② (ページ14)

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記憶の中から意識を現実に引き戻す。

思い出した記憶の内、必要なことだけを掻い摘んでざっくり話をまとめる。

父さんが消息不明なこと、父さんとパンドラの関係、私がパンドラを探す理由、それからなぜキッドに協力を持ちかけたのかを黒羽くんに話した。

「Aも父親絡みか……」

話終わったあとで黒羽くんがぽそりと呟いた。その言葉に引っ掛かりを覚えて頭を傾げる。

「も？」

「も」と言ったということは、私と同じような事情、つまり父親絡みでパンドラを探している人が居るのだろう。そしてそれは恐らく……。

「あ、そうだな、Aは話してくれたんだし……」

そう言って黒羽くんは私に怪盗キッドをしている理由、それからパンドラを探す理由を教えてくれた。

元々怪盗キッドの正体は黒羽くんのお父さん、黒羽盗一さんで、黒羽くんは2代目キッドらしい。

しかしお父さんは8年前にマジックの最中に事故死。黒羽くんが怪盗キッドを始めたのは、お父さんの死の真相を探るためだった。

その後、黒羽くんはお父さんはパンドラを狙う例の組織に殺されたことを知った。

そして今、黒羽くんはお父さんを殺した組織よりも先にパンドラを見つけ出し、それを砕くことを目的として怪盗キッドを続けているらしい。

「オレは、親父を罠にかけた奴らを一網打尽にして、超えてーんだよ」

静かなブルーパロットに黒羽くんの声が響く。それは、芯のある力強い声だった。

「オレの最も尊敬する奇術師、黒羽盗一をな！」

そう言った彼の紺青の双眸からは強い意志がひしひしと感じられた。

それは、思わず目を見開いてしまう程の強さだった。