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「ほんとにパスワードだった……」
違ったらどうしようかと少し不安だったが、メモの正体はパスワードであっていた。
ほっと息をついてから、父さんらしい、シンプルな壁紙のデスクトップを眺めてみる。
そこにはフォルダが2つあるだけで、それ以外は何も無かった。
『Pandora』と『1412』どちらも名前だけでは中身は予測できないフォルダである。
とりあえず『Pandora』の方から開いてみる。
フォルダの中にはさらに複数のフォルダと、いくつかのファイル。1番上から1つずつ見ていくことにしよう。
最初のファイルは何かのリストらしい。様々な言語で書かれた短い言葉が並んでいる。
チェックが付いているものと、付いていないもの。両者の違いは分からない。
次のファイルには『Pandora』とはなにかが書かれていた。
不老不死が叶うとか、月にかざせば赤く光るとか、なんともフィクションチックな宝石らしい。
そして、どうやらさっきのファイルは、宝石の名前で、パンドラか否か確認したものにチェックをつけていたようだ。
その他名前の付いたフォルダは、それぞれの宝石についてが書かれていた。
理由までは分からないが、どうやら父さんはこのパンドラという宝石を探していたらしい。そしてその途中で消息を絶った。
パンドラのフォルダを閉じて、もう1つの『1412』の方を開いてみる。
部屋の番号と同じ名前のそれには、やはりフォルダとファイルが複数入っていた。
パンドラの時と同様に、適当に1番上から目を通していく。
『1412』には、怪盗1412号、通称怪盗キッドという、8年前に姿を眩ませた怪盗についての情報が詰め込まれていた。なるほど、1412はこの怪盗のことだったのか。
それによると、怪盗キッドは、初期は宝石以外も盗んでいたようだが、ある頃から宝石ばかりを盗むようになったらしい。そして怪盗キッドの目的もパンドラかもしれないと。
「怪盗キッド、パンドラ……」
ぽつりと声に出してみる。父さんはこれを私に見せたかったのだろう。
なぜ父さんがこれを見せたのかは分からないが、見てしまった以上、することは1つしか思いつかない。
パンドラを探すことだ。
パンドラが見つかればきっと、父さんがそれを探していた理由も、突然消息不明になった理由も、今どうしているのかも、全て分かるような、そんな予感がした。
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作者名：もへじ | 作成日時：2023年7月3日 0時
