舞台袖から-2 (ページ34)

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「ねぇ、どーいうつもりか知らないけど、今回の仕事手を引いた方が良くってよ！」

周りの人間には聞こえないように、こっそりと紅子は快斗に耳打ちする。彼女も彼女なりにキッドを気にかけているようで、時々キッドの仕事について忠告をしてくる。当の本人はその忠告を跳ね返しているのだが……。

「だーかーらー言ってんだろ？俺はキッドじゃねーって！」

快斗がそう声を上げるが、そんなことはお構い無しに彼女は告げた。

「時告ぐる古き塔二万の鐘を歌う時、白き影が見透かす中、光の魔人東の空より飛来し白き罪人を滅ぼさん」

普通に聞いても全く理解不能なお告げである。

「はあ？また何かのくだらねー占いか？」

呆れ顔でそう返すも、紅子は自信満々に快斗の肩に腕を置き、答えるだけであった。

「占いじゃないわ。邪神ルシュファーが私に告げた予言よ」
「ル、ルシュ……」

日常生活では殆ど耳にすることの無い悪魔からの予言だと、平然とした様子でそう言う紅子に、快斗は驚いた顔でただただそう声に出すのが限界だった。

「あの時計台が2万回目鐘を鳴らす日が、丁度あなたが予告した夜。信じるか信じないかはあなたの勝手だけどね……」

そう言い残して赤子は長い、艶やかな黒髪を翻して立ち去って行った。そんな彼女に向けて快斗は呆れた半目を向けた。

「は……」