ページ ページ4
「あ〜あ、あたしも快斗くんとか、青子ちゃんみたいに賢かったらな〜」
箸をくわえながら、彼女はそうボヤいた。
黒羽くんと中森さんは学年のツートップだ。彼らは脳の造りが私達とは違うのだろうと言いたくなるような成績の良さだ。
中学の頃から彼らが賢いのを知っている私としては特別驚くことではないのだが、結衣のように、高校から同じになった人達にとってはあの2人の賢さは異常だろう。もう１年一緒にいるのでさすがに慣れただろうが……。
でも確かに、あの脳が欲しいと思ったことは何度もある。赤点スレスレで補習なんて、彼らにとっては全く関係の無い、別世界の話なんだろうなと少しのジェラシー。
現代文は漢字の問題で何とか40点前後あるが、古典はどうしても30点あるかないかだ。赤点を取っても取らなくても、古典の教師は、赤点もしくは30点近い生徒を長期休暇中に補習に呼ぶので、恐らく今回も私は呼ばれるのだろう。
春休みはないことを祈りたいが、あの人ならやりかねない。全くもって嫌な話だ。
理系科目は余裕があるのに国語系はてんでだめ、恐らく勉強しなければ赤点どころか10点台もしくはもっと下にまで落ちかねない。
普段ならそろそろ古典と現代文だけでも始めるのだが、今回はキッド関連の仕事があるので勉強はあまり出来ないかもしれない。
久しぶりに翔に泣きついて教えてもらうしかないかもしれないと憂鬱になる。とそこで仮装スキー大会のお詫びをしていないことを思い出した私は、スマホの電源を入れて「仮装スキー大会のお詫び、なんか奢る。決めといて」と適当にメールを送った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もへじ | 作成日時：2023年4月4日 22時
