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「……決して巻き込むつもりは無かったのですが、こんなことになってしまい申し訳ありませんでした。協力関係も解消しましょうか……」
「え」
何も喋らない水野に謝罪を述べて関係の解消を持ちかけると、彼女は驚いたようで俯いていた顔を勢いよく上げて声を上げた。
「ですから、これ以上巻き込む訳にはいきませんから……」
「ちょ、ちょっと待って!! 貴方の協力をするって言った時点でこうなる事を覚悟してなかった私が悪いし、巻き込まれたなんて思ってないから、だから、解消だけは……!」
彼女は焦ってまくし立てながらそう懇願してきた。そんな反応をするなんて、欠片も思っていなかったオレは驚きのあまり暫く固まってしまった。
「え……」
「……っ、だめ、ですか……?」
「え、あ、いや、そういう訳じゃなくて、ちょっと驚いてな……」
彼女の仕事ぶりはいつも脱帽する程のものであるから、オレとしてはいてくれる方が嬉しいに決まっている。それに、ここ1ヶ月程で寺井ちゃんも結構彼女のことが気に入ったようで、時々、2人でしたというビリヤードや世間話の内容を教えてくれる。だから仲間でいてくれるに越したことはない。
「……いいんですか?またこんな目にあいますよ。次は無事では済まないかもしれない」
「構いません。今度はちゃんと、覚悟を決めるから」
しっかりと据わった目で俺を見上げて、彼女はキッパリと言い切った。
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作者名:もへじ | 作成日時:2023年4月4日 22時