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『……キッド、貴方物騒なお友達がいるのね』
「……っ!まさか!」
「ははは、漸く気づいたようだな!」

それは協力者である水野の声だった。恐らく彼女も銃を向けられているのだろう。しかし抵抗する手段を持っていないと思われる彼女は、ただ言われる事に従うしかない。まさか協力者がいることを奴らに知られているとは思わなかった。

「彼女を解放しろ」

普段より幾段か低い声を出す。だが相手の方が有利であるこの現状では、それはなんの意味も果たさなかった。

「貴様がそれをこちらに渡したらな」
「……」

ジャケットに手を入れて、水色に輝く石を取り出して投げる。部下の1人が受け取ったのを確認してから声を出す。

「渡したぞ。彼女を解放しろ」
「ああ、解放しよう。……ただし、引き金を引いたあとでな!!!」

直後、奴らの持っているトランシーバーからカシュッ、というサイレンサーの付いた銃の音と、ひっ!という悲鳴が上がる。

「くそ!!」

急いでインカムのマイクをオンにする。

「おい! 今どこだ!!」

目の前には奴らがいるが、そんな事には構っていられない。まさか彼女が狙われるとは思っていなかったから、組織のことは特に伝えていなかった。トランシーバーからは相変わらず静かな銃声と、慌てた悲鳴が上がっている。とりあえず彼女が生きていることは確認出来た。

『田中眼科のあるテナントビルの屋上!』

インカムから返事が帰ってくる。通りを1つ挟んだところにあるビルを確認する。暗くてここからではよく分からないが、彼女はそこにいるようだ。続けてインカムに向かって喋ろうとすると、足元に銃弾が刺さった。

「動くなよ。貴様には死んでもらう」

その声に思わず舌打ちをする。銃を向けてじりじりと近づく奴から離れるように、オレはじりじりと端に追い詰められていく。もう後はない。追い詰められてしまった。

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作者名:もへじ | 作成日時:2023年4月4日 22時

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