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「彼女なら良かったんだけど、残念ながら一緒なのは可愛さの欠けらも無いちんちくりんだよ。俺に彼女はいないしね」
苦笑いしながら翔はそう答えた。
その言葉に、翔が幼馴染だと言っていたAA、Aちゃんのことだろうなと察する。翔は無駄に女子に騒がれるだけあって、普段人の事をそんな風に評価することの無い男だ。
可愛くないとかちんちくりんだとか言うのは、恐らくそんなことを言っても大丈夫だと相手を信頼していると同時に気を許しているからだろう。男なら男だと言うと思う。わざわざそんな風に言ったということは相手は男ではなく女子、そして気の許すほど親密なのはオレが知っているなかではAちゃんぐらいだからそう考えた。
しかし全く何も知らない青子は、翔の口から可愛くないやら、ちんちくりんやらが出てきたことに驚いたらしく。目を丸くしていた。
「可愛さの欠けらも無いちんちくりんで悪うございました」
青子よりも低い女の声が聞こえると同時に、翔の痛、という小さな悲鳴があがる。翔の後ろから姿を現したのはやはりAちゃんだった。
最初に考えた家族ではなかったが、一応ついさっき考えたことは当たったらしい。青子は、え、Aちゃん!?なんて驚いている。彼女は落ち着いた様子で軽く挨拶した後、翔に戻ってくるの遅すぎと文句をぶつけた。
「文句言うならネットニュースの速報なんか見ないで自分で取りに行けば良かったじゃねーか」
軽い言い合いを始めた所を見ると本当に彼らは幼馴染なのだろう。本人から聞いてはいたが、学校等で特段話したりする様子を見たことがなかったので、どこか信じられていなかったオレは、今初めてきちんとそのことを実感した。
まだ目を丸くしたままの青子に、あの2人は幼馴染らしいと伝えると、オレが初めて聞いた時のように、知らなかったと驚いて、さらに目を丸くした。
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作者名:もへじ | 作成日時:2023年4月4日 22時