検索窓
今日:58 hit、昨日:139 hit、合計:12,591 hit

1-10 ページ15

美術館を出る前にトイレに行って帰ってきてから、青子の様子がおかしい。何かを考えているようだ。

トイレに行く前まではどの絵がどうだったとか、宝石が綺麗だったとか色々喋り続けていたのに、戻ってきてからはそれがピタリと止まっていた。何かあったのか尋ねてもんーん、なんて言って何も言わない。様子がおかしい上に、何を聞いても別に何も、なんて返されるのに腹が立ち、つい大声で叫んでしまった。

「だあああ!! ったく、何があったのか教えろって言ってんだよ!!」

周りの人が驚いてこちらを向いているが気にしない。どうせすぐこちらから視線を外すだろうから。青子は突然の大声に驚いたのか目を丸くして漸くこちらを見た。

「びっくりした……もう! 驚かせないでよ!!」
「おめーが何聞いても適当に返事するからだよ!」

そう言い返すと彼女はう……、と一瞬つまり、また考え始める。それが腹立つんだよ!と思い、もう一度叫んでやろうと思ったとき、彼女がねえ、と話を切り出した。

「広瀬くんってさ、彼女いるの?」

いつになく真剣な表情で尋ねてくる。なぜだかその表情にドキリと心臓が跳ねる。なぜ青子はそんなことを真剣に尋ねてくるのだろうか。まさか、翔の事が……?そう心配になる。もしかしたらオレと青子は両想いかもしれないと思っていたぶん、さらに不安になる。

「な、んで……?」

辛うじて絞り出せた、カスカスな声でそう聞いた。

次ページ→←1-09



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
22人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もへじ | 作成日時:2023年4月4日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。