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チケットを購入したスマホの画面を見せ、貴金属を出し、水野が言っていた通り導入されていたゲート型の金属探知機を通る。
キッドとして侵入するにはどこから入るのがいいだろうか、と考えながら荷物を受け取っている青子を待つ。

「快斗!お待たせ、行こっか!」

そんな声が聞こえできたのでおう、と短く返事をしてから歩き出して、目当ての宝石以外にも色んなものを眺めながら進んでいく。自分の目線より少し下の位置で人に迷惑にならない程度にちょこまかと動き回って楽しそうにしている彼女を見ていると、ふと美術館前で翔が言ったことを思い出した。

オレたち2人は傍から見ればカップルに見えるのだろうか。カップル、悪くないな、なんて思って1人頬が緩む。

昨日ジイちゃんに言われたのにも関わらずポーカーフェイスを忘れていた。ポーカーフェイスを忘れるな、とどこからともなく親父に言われたような気がして急いで顔を引き締める。青子は目の前の美術品に夢中で気づいていないようだった。

顔を引き締めたと同時に気も引き締まり、本来の目的を見失いかけていたことに気付く。今日ここに来たのはデートではなく……いや、一応違わなくは無いのだが、本当の目的は下見である。

とりあえず、まだ暫くこの展示室を離れる様子がない彼女を横目に、この部屋全体を見渡せる中央のソファに腰を下ろす。そこから部屋をぐるっと眺めるように下見を始めた。

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作者名:もへじ | 作成日時:2023年4月4日 22時

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