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4《レイナ》過去−4 ページ5

「……こいつで合ってるか?」
「間違いなく、H-Kristですね」
「……おいおい、死にかけじゃねぇか」
 だけど、声が聞こえて、私は少しだけ「死ぬ」からそっちの方へ意識を向けた。
「何があったかは……まぁ、大体想像つくな……」
 声が近づく。
「よっこらせっ」
 ぐっと私の身体が持ち上がった。
 やめて、妹から、離さないで……。そう言いたかったけれど、声を出す力も残ってなかった。
 だけど、
「あぁ、お前さんの言いたい事は分かるよ。大丈夫だ」
 声の主に伝わったみたいだった。なんだかその声に。私は安心した。
「おっと、まだ死ぬんじゃねぇぞ。あー、この死んじまった奴の分まで生きろ。そんだけ泣いて、悲しかったんだろ。そんだけ大切な奴だったんだろ。なら、生きろ」
 「泣いて」も「悲しかった」も「大切」も私には分からない言葉だったけれど、きっとそうだったんだ、と納得できてしまって。だから、生きよう、と思った。「死ぬ」の方へ歩くのを止めた。

「生きてさえいれば、何とかなる」
 うん。
 枯れたと思った涙がまた1粒、流れた。
 そうして、私は眠りについた。

・・・

 目が覚めると、見知らぬ場所にいた。真っ白な部屋で、私はふかふかの何か白いものに横になっていた。
 腕を見ると、細い管が刺さっていて、管を追って視線を上げると、袋状のものに繋がっていた。何だか気持ち悪くて、取ろうとしたら、その手を掴まれた。白い服を着た女の人だった。
「取ってはダメです。今は、あなたが生きるのに、必要です」
 「生きる」という言葉に、こくっと頷き、私は抜こうとするのを止めた。
「改めて、こんにちは。あなたは結晶病という病にかかっています。そのため、こうして治療しています。結晶病とは、ある一つの感情に呼応して結晶が体から生えてくる病です。あなたの場合、悲哀のようです」
「?」
 女の人の言っている事はほとんど理解できなかったけれど、私はやっぱり病気なんだな、と思った。

「……一方的に言っても分かりませんよね。まぁ徐々に理解していければ……とりあえず、分かってほしいの事は3つです。私達は、あなたを治療します。あなたは、ここで暮らします。そして……」
 そこで、少し、女の人は躊躇って、
「生きるために、戦ってもらいます」
「わ、分かったかも?」
 よく分からなかったけれど、生きるためなら、頑張ろう、と思った。

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設定タグ:募集企画 , 派生 , 結晶感情   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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夕暮れの紅猫(プロフ) - へしろさん» はい、頑張ります。 (2017年8月11日 22時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
へしろ - 夕暮れの紅猫さん» そうですね(笑)コーゾーの漢字も初めて出したので、楽しみにしています。 (2017年8月11日 21時) (レス) id: 8a764b3567 (このIDを非表示/違反報告)
夕暮れの紅猫(プロフ) - へしろさん» いえいえ。こちらも、ライアスをよく使ってくださってありがとうございます。過去話、うまく書けるといいのですが……(しかし、ここまでライアスの話が多くなると、実はライアスが3人の中で一番気にいってるキャラとバレてしまう(><)) (2017年8月11日 11時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
へしろ - いやぁ、ライアスさんカッコよすぎです。惚れるわ……。コーゾーのほうも書いてくださってるようで、ありがとうございます! (2017年8月11日 11時) (レス) id: 16521b6000 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夕暮れの紅猫 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年8月3日 2時

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