5《ライアス・リュークリーク》小話−4 ページ12
・・・
結果的に、私は無事、生き残る事ができた(腹の傷は包帯で塞いだ)。
あの後、増援が来て、あっという間にスパイ達は捕まった。幸いな事に同じ職場にいたスパイでない(私含む)者達は、スパイとして捕まる事はなかった。
シュラハティの拷問はえげつないと聞く。身体より精神がズタボロになるとの噂だ。
「さっきは助かった。ありがとな」
所々血溜まりの残る職場に残った私達に、彼の緊張の欠片もない言葉がかけられた。
「いえ、リュークリーク様がいなければ、私達は命を落としていました」
「俺はほとんどなにもしてないだろ」
したした! あの殺気は思い出しただけで身震いが……でも、格好良かったな……。
「あはは、嬢ちゃんは、俺に何か言いたそうだな、あの所長と話している間もそうだったが」
「うっ……そ、そんな事は」
バレてたか……。
それにしても、戦闘時とはまるで別人だ。何と言うか、平常時はまるで親戚のおじさんみたい(私の事を嬢ちゃんとか言うし)な雰囲気なのだ。あの、場を一瞬で支配するような、荒々しい空気を感じない。
「じゃあ、俺はまだ片付けも残っているし、そろそろ行くとするか」
「片付け、ですか?」
幹部がやる片付けって、まさか……。
私の言葉に、彼は頷く。
「あぁ、今回捕らえたスパイの所属組織を壊滅させに行くんだよ」
「……なるほど」
もうその組織の居場所を捉えたのだろうか。でも今からなど、いくらなんでも早すぎでは……?
「作戦などは立てないんですか?」
遠回しにその旨を聞くと、ニッと彼は笑って、答えた。
「俺には、勿体ないくらいに優秀な同僚や部下がいるからな。まぁ、大丈夫だ」
彼が言うと、本当に大丈夫な気がしてきた。
「良いな。私もこの人が戦うところを見てみたい」
って、ついに口に出してしまった……。
「あっ、い、今のは」
どう言い訳しよう、と考えていると、ぽんぽん、と頭を撫でられた。
「もっと強くなったらな」
「……っ」
と、年下キラーかよ、今の笑み!! ある意味殺されるかと思った! ……内心悶えてしまった。
「おーい、返事はどうした? 嬢ちゃん」
「はいっ」
今の心内は悟られてはいない……みたいだ。良かった。
「ん、良い返事」
彼は、もう1度私の頭をぽんぽんとすると、
「じゃあな、お前さんら」
ひらひらと手を振って、彼は去っていった。
・・・
後日談。無事、スパイを送り込んだ組織は壊滅したらしい(これだけ)。
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夕暮れの紅猫(プロフ) - へしろさん» はい、頑張ります。 (2017年8月11日 22時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
へしろ - 夕暮れの紅猫さん» そうですね(笑)コーゾーの漢字も初めて出したので、楽しみにしています。 (2017年8月11日 21時) (レス) id: 8a764b3567 (このIDを非表示/違反報告)
夕暮れの紅猫(プロフ) - へしろさん» いえいえ。こちらも、ライアスをよく使ってくださってありがとうございます。過去話、うまく書けるといいのですが……(しかし、ここまでライアスの話が多くなると、実はライアスが3人の中で一番気にいってるキャラとバレてしまう(><)) (2017年8月11日 11時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
へしろ - いやぁ、ライアスさんカッコよすぎです。惚れるわ……。コーゾーのほうも書いてくださってるようで、ありがとうございます! (2017年8月11日 11時) (レス) id: 16521b6000 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕暮れの紅猫 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年8月3日 2時