検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:1,856 hit

1《レイナ》過去−1 ページ2

「とっ、りゃー!」
「お、おりゃー」
 リアカーを妹とぐぐぐっと押す。リアカーには、ゴミが山積みになっている。
 私達の住むスラム街には、ゴミが至る所に捨ててある。それを回収して、街の奥にある、ゴミ捨て場にゴミを捨てるのが、私達の仕事だ。貰えるコインは大人の10分の1くらいだけど、ご飯のためには少しでも稼がなきゃいけない。
「あっと、少っしっ」
 視界には、大きな広場とたくさんの見上げるほど多いゴミ。
 リアカーのゴミを崩さないようにゴミ山まで押していき、がばーっと捨てる。

「よっしっ!」
 これで27往復目くらいかな。私達の力では運べる量が少なく、1日のノルマをこなすのに、かなり時間がかかってしまった。
 タタタっとゴミ山を管理するおじさんの所まで行く。
「できました!」
 リアカーを置き、おじさんに両手を突き出す。
「はいよ」
 おじさんは、こちらをちらりと見て、私の両手にチャリン、と2枚のコインを落とした。
 私はそれを見て、きょとん、と首を傾げる。
「あの、昨日よりも2枚少ないです!」
「昨日よりも仕事量が少なかっただろ」
「え、でも」
 少なくなったと言っても、1往復くらいしか変わっていない。
「うるせぇ! さっさと帰んな」
 怒鳴られて、妹がビクッと首をすくめた。
 これ以上怒らせたら、明日の仕事がなくなるかもしれない。子どもができる仕事はこれくらいしかない。
 私達はすごすごと帰った。

・・・

 それにしてもどうしよう。着いた家の前で眉を下げる。
 太陽は地にほぼ沈みかけてて、もうすぐで真っ暗になる。だけど、私達は中に入れなかった。
 貰ったコイン2枚を見る。これじゃあ、食べ物は1つだって買えない。これじゃあ……お母さんとお父さんに怒られちゃう。
 バンッ、とドアが開いた。薄い板でできた家はそれだけで、揺れる。
「なんだい、帰ってたのかい、あんた達」
 出てきたのはお母さんだった。
「稼ぎは?」
「こ、これ……」
 手の中のコインを見せる。お母さんは、片手でむずん、と掴み取ると、もう片方の手で、私の頬をぶった。あんまり強いので、よろけて、倒れてしまった。……痛い。
「お姉ちゃん!」
 妹が私に駆け寄った。
「こんだけしか稼げなかったのかい!? 腹の足しになりゃしないじゃない! この役立たず共! 今日は飯抜きよ!」
 再び激しく閉められる戸。今日は家にも入ってくるな、という意味だ。

2《レイナ》過去−2→←中心人物/説明



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:募集企画 , 派生 , 結晶感情   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夕暮れの紅猫(プロフ) - へしろさん» はい、頑張ります。 (2017年8月11日 22時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
へしろ - 夕暮れの紅猫さん» そうですね(笑)コーゾーの漢字も初めて出したので、楽しみにしています。 (2017年8月11日 21時) (レス) id: 8a764b3567 (このIDを非表示/違反報告)
夕暮れの紅猫(プロフ) - へしろさん» いえいえ。こちらも、ライアスをよく使ってくださってありがとうございます。過去話、うまく書けるといいのですが……(しかし、ここまでライアスの話が多くなると、実はライアスが3人の中で一番気にいってるキャラとバレてしまう(><)) (2017年8月11日 11時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
へしろ - いやぁ、ライアスさんカッコよすぎです。惚れるわ……。コーゾーのほうも書いてくださってるようで、ありがとうございます! (2017年8月11日 11時) (レス) id: 16521b6000 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夕暮れの紅猫 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年8月3日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。