1《レイナ》過去−1 ページ2
「とっ、りゃー!」
「お、おりゃー」
リアカーを妹とぐぐぐっと押す。リアカーには、ゴミが山積みになっている。
私達の住むスラム街には、ゴミが至る所に捨ててある。それを回収して、街の奥にある、ゴミ捨て場にゴミを捨てるのが、私達の仕事だ。貰えるコインは大人の10分の1くらいだけど、ご飯のためには少しでも稼がなきゃいけない。
「あっと、少っしっ」
視界には、大きな広場とたくさんの見上げるほど多いゴミ。
リアカーのゴミを崩さないようにゴミ山まで押していき、がばーっと捨てる。
「よっしっ!」
これで27往復目くらいかな。私達の力では運べる量が少なく、1日のノルマをこなすのに、かなり時間がかかってしまった。
タタタっとゴミ山を管理するおじさんの所まで行く。
「できました!」
リアカーを置き、おじさんに両手を突き出す。
「はいよ」
おじさんは、こちらをちらりと見て、私の両手にチャリン、と2枚のコインを落とした。
私はそれを見て、きょとん、と首を傾げる。
「あの、昨日よりも2枚少ないです!」
「昨日よりも仕事量が少なかっただろ」
「え、でも」
少なくなったと言っても、1往復くらいしか変わっていない。
「うるせぇ! さっさと帰んな」
怒鳴られて、妹がビクッと首をすくめた。
これ以上怒らせたら、明日の仕事がなくなるかもしれない。子どもができる仕事はこれくらいしかない。
私達はすごすごと帰った。
・・・
それにしてもどうしよう。着いた家の前で眉を下げる。
太陽は地にほぼ沈みかけてて、もうすぐで真っ暗になる。だけど、私達は中に入れなかった。
貰ったコイン2枚を見る。これじゃあ、食べ物は1つだって買えない。これじゃあ……お母さんとお父さんに怒られちゃう。
バンッ、とドアが開いた。薄い板でできた家はそれだけで、揺れる。
「なんだい、帰ってたのかい、あんた達」
出てきたのはお母さんだった。
「稼ぎは?」
「こ、これ……」
手の中のコインを見せる。お母さんは、片手でむずん、と掴み取ると、もう片方の手で、私の頬をぶった。あんまり強いので、よろけて、倒れてしまった。……痛い。
「お姉ちゃん!」
妹が私に駆け寄った。
「こんだけしか稼げなかったのかい!? 腹の足しになりゃしないじゃない! この役立たず共! 今日は飯抜きよ!」
再び激しく閉められる戸。今日は家にも入ってくるな、という意味だ。
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夕暮れの紅猫(プロフ) - へしろさん» はい、頑張ります。 (2017年8月11日 22時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
へしろ - 夕暮れの紅猫さん» そうですね(笑)コーゾーの漢字も初めて出したので、楽しみにしています。 (2017年8月11日 21時) (レス) id: 8a764b3567 (このIDを非表示/違反報告)
夕暮れの紅猫(プロフ) - へしろさん» いえいえ。こちらも、ライアスをよく使ってくださってありがとうございます。過去話、うまく書けるといいのですが……(しかし、ここまでライアスの話が多くなると、実はライアスが3人の中で一番気にいってるキャラとバレてしまう(><)) (2017年8月11日 11時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
へしろ - いやぁ、ライアスさんカッコよすぎです。惚れるわ……。コーゾーのほうも書いてくださってるようで、ありがとうございます! (2017年8月11日 11時) (レス) id: 16521b6000 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕暮れの紅猫 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年8月3日 2時