文化祭マジック ページ25
．
「今話さないと話せない気がして、」
『大事な話ですか？』
「うーん、だね」
謎の緊張感に包まれながら、Aが背筋を正す。ミリオは柄にもなくどこか緊張した様子で、口を開いた。
「氷室さんさ、その…もう、大丈夫？」
『だいじょ…あ、あーそういうことですか』
壊理ちゃんはサーが亡くなったことは知らない。知らせてはいけない。
だからきっとミリオは名前を出さずに話したし、Aもそれを読み取った。
『大丈夫…なのかな、私こういう経験がなくてわからなくて。
最初の方はすっごく辛かったし病んでた…って言い方は正しくないかもしれませんけど、病んでましたね』
それこそ、ミリオ先輩に会いにいけないくらいに。
と苦笑いを浮かべながらAは言う。
『私なんかと正反対で、未来を見据えて動いているミリオ先輩になんて会いに行けなかったんです。怖くて。』
「だから手紙とかメールだけでお見舞い来てくれなかったんだね！」
『…ごめんなさい、ほんとにほんとに申し訳ないです』
「冗談だよね、大丈夫だよ」
『…でも、最近はすっかり平気で。それこそ壊理ちゃんに会いに行ってから』
自分の名前が呼ばれて、不思議そうにAを見つめる壊理。そんな彼女に小さく笑って、Aは続けた。
『バンド誘ってもらったり、学校が始まったり、壊理ちゃんにたくさん会いに行ったり…楽しいことが多くて、だから大丈夫なのかもしれないですね。
まだまだ思い出すし、会いたくなって泣きたくなるけどそれ以上に楽しいから』
「…そっか！よかった、上から目線みたいに思うかもだけど心配してたんだよね。でも直接言うのもアレだし、って思って」
Aはそんな心配してくれたんですね〜なんて口を開く。
自分で精一杯で全然周りを見れていなかったんだなあ、なんて反省もする。
「本当によかった、氷室さんの笑顔が戻って」
『………え、ちょっといいですか先輩、私のこと好きですか？』
「まさか！そんなの確実にありえないよね！俺はもうちょっと違うタイプが好きだし」
『良かった、うわもうほんとに気まずいと思って！！』
「どっちかっていうと…何だろう、妹？ほら、事務所も一緒だったし。俺サーから色々氷室さんのこと聞いてたんだよね」
『え、気になる！なんて言ってました？』
「後で教えます、今は後ろ！」
『後ろ？』
言われた通り後ろを見ると、食堂にいる雄英生数人と目が合った。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1446人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろ(プロフ) - 大好きな作品なのでずっと更新待ってます！！！ (1月31日 10時) (
レス) @page29 id: a428350e37 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 更新待ってます!! (2023年1月6日 0時) (レス) @page28 id: 293bfee8ad (このIDを非表示/違反報告)
天つゆ(プロフ) - 更新待ってます！！ (2022年11月2日 22時) (レス) id: cff6f7121f (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 終わり、ってなっちゃってるんですけど終わらないですよね…！！？とても大好きなので更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年12月27日 20時) (レス) @page29 id: e49e142c99 (このIDを非表示/違反報告)
グク - この作品大好きです。更新待ってます！ (2021年12月10日 15時) (レス) @page20 id: 3c9247ce93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なんなん | 作成日時：2021年10月2日 14時
