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胸がドキドキして鳴り止まないまま、案外早く屋上の踊り場に着いてしまった。言わなきゃという焦りが、身に染みて分かる。
鳩尾、というより心臓の近くが鋭い矢を撃たれたかのように痛く、ズキズキとする。
緊張で、額と手のひらにはじんわりと汗が滲んだ。
(何か喋らなきゃ)
踊り場に着いても、私達は口を閉じて黙っているだけ。目を合わせることすら出来ない。
心の中で言いたいことを何度唱えても、唇が少ししか動かない。俯いているため、鋭児郎の顔を見ることも出来ない。こんなんじゃダメなのに。
“頑張れよ ”
そう言ってくれた時の爆豪の顔が、ふと頭を過る。私はついさっきも、これで助けられた。
緊張が少し解れるような感覚が来る。
(よし。今ならいける)
鋭児郎に聞こえないように深く深呼吸をした。
「鋭児郎っ！」
「Aっ！」
…………え？
俯いていた顔を上げて、鋭児郎を名前で呼ぶと同時に、私の声と重なった。驚いて、目を見開いて鋭児郎を見る。
「あ、ごめん……」
私は言って、また俯いた。目を逸らしてしまった罪悪感に襲われる。
「いや、俺も悪ぃ。先いいぞ」
後から鋭児郎も、首に手を当てながら申し訳なさそうに言った。
「え、でも」
先に、と言われると話したいことも話せなくなってしまう私は、口をもごもごさせて言った。まだ、勇気が足りないせいでもある。
「……じゃあ、俺からでいいか？」
数秒程黙っていた私に鋭児郎は言った。私は「うん」と答えて、鋭児郎の顔をちゃんと見る。目を逸らしたくなってしまったが、自分の弱さに負けないようにした。
鋭児郎が真剣な表情になる。真剣さはオーラからも伝わってきた。
それより、鋭児郎が話したいことって何だろう。そればかりが気になってしまって、考えていた言葉は半分吹っ飛んでしまった。
「俺、もうAに嫌われてると思うけどよ、やっぱり好きなんだよ」
鋭児郎は弱々しく言った。
嫌われてる、その言葉だけが普通に喋っていた言葉なのに強く頭に残る。
胸あたりがズキンとした痛みに襲われる。
「それが嫌なら、俺は諦めるから、また仲良くしてくれ」
そう言った鋭児郎の顔は、今にも泣きそうな表情をしていた。
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更新が大変遅くなり申し訳ありませんでした。
色々と事情があり、書くことが出来ず放置してしまいました。
近いうちに完結をさせる予定ですので、お付き合いよろしくお願いします。
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ムー - 屋上から社会資料室にいつの間にか移動してる……？いつみても可愛いです！特に社会資料室での壁ドン？はドキドキしました！ (2022年9月4日 23時) (
レス) @page28 id: 812daaa6d6 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - がわ”い”がっ”だでず〜！キュンキュンしました！ (2022年2月3日 18時) (レス) @page35 id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 切島くんオチの小説は初めて読んだけど、凄く面白かったです！恋する夢主ちゃんはめちゃくちゃ可愛くて、特に告白シーンは最高でした！ (2021年10月5日 19時) (レス) @page35 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
てちじろく - 最高…続きがよみたい…！！！お願いします！！ (2021年6月3日 12時) (レス) id: ce64caf93a (このIDを非表示/違反報告)
Mizu(プロフ) - めっちゃキュンキュンしましたーーーーー！！！最初から両片思いだったなんてちょー可愛すぎます (2020年5月15日 13時) (レス) id: 4855926a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Hermia x他2人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kakuumusou1/
作成日時：2018年1月3日 23時
