【MHA】雨のち、虹色。【轟】 (ページ4)

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服を乾かしてくれるらしく、それまでの時間は床に座っていることにした。

テーブルの向こう側には轟が座っている。静かな部屋には、時計の針が動く音だけが響いていた。

「ねぇ、私のこと何とも思わないの？」

疑問でしかなかったことを、目の前にいる彼にぶつけた。轟の顔に少し困惑の色が見える。なんて返答をされるか、少し不安になりながら待った。

「別に思わないが？」
「……なんで？」

少し反抗的になってしまったか。言い方がキツくなってしまい、思わず下を向く。

＿＿駄目だ。今まで大丈夫だったのに、泣きそう。

まだ冷静でいる中の自分がかすかにそう言った。必死に出そうになる涙を堪えた。まだ、泣いてない。泣かない、大丈夫。何度も自分に言い聞かせる。

「何があったかは知らないが、過去は過去だ。これから、自分の悪いところを直していけばいい。高山が、あーなったのもきっと理由があるんじゃねぇのか？」

純粋な轟の瞳に胸が痛くなった。

自分の悪いところを直すって一体どうすればいいのよ。やってしまったことは、もう後戻り出来ない。

轟は、私の返事を待っているのか、黙ってじっと私の顔を見ていた。こんな状況だというのに唇が綺麗だと思ってしまう私は、本当に男好きだ。そんな自分に嫌気が差し、私は吐息をついた。

「理由……ね。ちゃんとあるよ」
「そうか」
「聞かないの？」
「あぁ。別に言えとは言ってねぇしな」

そう、と小さく消えるように言葉をこぼした。

聞かれたらなんて答えようかと考えたのにな。でも、聞かれなくて良かったとも思う。今の私には、涙を堪えながら言える自信と余裕は無かったから。

「ココアで良かったか？」
「うん。美味しいよ」

一口だけココアを飲んで言った。温かい飲み物をマグカップに淹れてもらったり、服を乾かしてもらったり。色々なことをしてもらって申し訳無い気持ちになる。いつかお礼をしよう。

＿＿それにしても、あの時どうして私に話しかけたのだろう。

普通は見て見ぬふりをする。周りにいた人達だって、ちらりと横目で見るだけで誰も触れたりはしてくれなかった。そう考えると、轟は心が広いのか。＿＿それとも、私が好きなのか。

私は一つの賭けに出てみることにした。

「轟は、私のことが好きなの？」