【MHA】雨のち、虹色。【轟】 (ページ3)

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普通だったら、接したことのない男の家に軽々と行くような女はいないだろう。けれど、私だったらどうだろう。彼氏にフラれてしまうくらい男関係が緩い。こんな私を轟は家に入れても大丈夫なのだろうか。

しかし、彼氏にフラれ、メンタルが弱っていた私には拒否をするという考えは出ず、即頷いてしまった。

「……うん、行こうかな」

雨が少しずつ強くなっていく中、私は轟の傘に一緒に入り、ついていった。

.

「お邪魔します」

和装の造りになっている建物の中に入ると、電気がついておらず、廊下は真っ暗だった。

「断っておくが、家には誰もいないぞ」

まさかの二人きり。私は少女漫画の主人公のように赤面をするわけもなく、そのまま轟についていった。轟は草食系だろうから、私のことはとって食ったりはしないはずだ。

誰もいないと聞いたとき、何故だか少し安心した。他の人に今の私を見られるのは辛かったから。これ以上自分の汚い姿を見られるのは流石にメンタルがもたないし、見せてしまった人への罪悪感で押し潰されてしまう。

轟の部屋らしきところに入ると、あるものを渡された。

「これ使え」
「あ、ありがと」

上着の時と同様、次はタオルと上下のスウェットを投げられる。なんとなく、数秒ほど着替えに目を向けた。

「俺の寝巻きで悪い。けど、今は高山が着れそうなのがそれしかねぇからそれ使ってくれ」

ありがとう、と私はまた言った。

＿＿轟って着物で寝ているイメージだったけど、意外にもスウェットなんだな。

私は轟に部屋から一度退出してもらい、スウェットに着替えた。少女漫画だとお決まりの、ズボンが緩くて穿けないというのは一切無く、ゴムだったからか普通に穿けた。

けれど、袖だけは少し長かった。萌え袖になった手を鼻に持ってきて、なんとなく嗅いでみる。案の定轟の匂いが鼻に広がった。

「高山、もう入ってもいいか？」
「……ぅわっ！え、うん。いいよ！？」

不意に話しかけられた私はびっくりして、変な声が出てしまう。轟のスウェットを嗅いでいた自分がとても恥ずかしい。

＿＿轟が中に入ってきても、私は暫く顔を見られなかった。