【MHA】雨のち、虹色。【轟】 (ページ1)

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雨の日は、妙に色々なことを思い出す＿＿。

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委員会の仕事があり残っていた私は、帰ろうと荷物を取りに、教室へと向かっていた。廊下の窓の外を見ると、雨雲がどんよりと集まっていて、日没近くもあり薄暗くなっていた。

予備の傘は持っていたかな、と思い出そうとする。しかし、家に置いてきたことに気づき、早めに帰ろうと考える。足が自然と早くなるのが分かった。

「あ…」

教室に入ると、私の席で寝ている轟に気づいた。

待っていてくれたのだろうか。

机に突っ伏し、寝ていた。あまり見せない寝顔を見て、顔が整っていると改めて思った。よく見ると、睫毛も長い。

轟とは、二ヶ月前から付き合っている。けれど、今のところ進展はまったくない。あったとしても、手を繋いだことぐらい。周りの子達と比べて、何にもないことがとてももどかしく感じる自分がいた。

「髪さらさら…」

何気無く、轟の頭を撫でてみる。

普段はあまり出来ないということもあり、少し胸がドキドキした。今起きられたら、恥ずかしくて私は轟の顔を見れなくなってしまうだろう。

ふと、撫でていた手を止めた。

(轟は、なんで私なんだろう)

少しネガティブ思考になっているかもしれない。これは最近、よく思ってしまうことだ。

男関係に緩かった私を選んだのは、どうしてなのだろう。いつ何処で浮気されているか分からないというのに、何故私と付き合うのだろうと。

私は轟の耳についている、私とお揃いの赤いピアスに軽く触れた。少しだけ当たる光でキラリとピアスが輝く。例えるならば、雫がポタリと落ちて染み込んでいくような。外の曇り空から一滴、二滴、と雨が落ちる音が聞こえた。

その時、時間だけは妙にゆっくり流れていた。