【刀剣乱舞】驚きの毎日を、弐【男主】

驚きの光忠捜索隊〜探索〜 ページ10

状況が飲み込めていない

三日月に、これ見よがしにため息を吐く。

「置いていかれるのは嫌なんだろう?

だったらほら、一緒に探してくれ」

人手が多い方が助かると言ってやると、

やっと納得したらしい。

いつも通りのほわほわした笑みを浮かべ、

上機嫌で俺の手に指を絡めてくる。

…これが、世に言う恋人繋ぎか。

まさか男相手にやられるとは

微塵も思わなかったが、

三日月が嬉しそうだから

そのままにしておこう。

当の本人が一番気付いていなさそうだしな。

「燭台切ならば、恐らく厨にいるだろう。

俺が案内しようぞ」

ずるずると俺を引っ張る三日月は、

先程までの遠慮はなんだったのかと

疑いたくなるほどに、強引だ。

よく分からない人だが、

退屈はしないから良しとするか。

そのまま廊下を突き当たりまで

歩いたところで、シュンッ、と何かが

もの凄い速さで横切った。

驚いて三日月の手を離してしまうと、

異変に気付いた三日月がむ? と

首をかしげて聞いてくる。

「どうした黒鶴、何かあったか?」

三日月はさっきの体験をしていないのか、

不思議そうに俺を見ている。

今絶対何かが横切ったと思ったんだが、

ただの突風か?

いや、でもそれだったら三日月にも

分かるだろうしなぁ。

「…いや、何でもない。厨に行こう」

気のせいだろうと思うことにして、

立ち止まったままの三日月の背を押す。

「おお、これは楽だなぁ」

三日月はこの方が楽なことに気付いたのか、

俺に押されたままになっている。

しまいには俺にもたれてくるし、

押されたままそこを右だ、とか

指示をとばしている。

やり始めたのは俺だが、自分の足が

あるんだから自分で歩いてほしい。

この体制、三日月は楽だろうが

俺はすごい疲れる。主に腕が。

それでも諦めずに三日月を押しながら

進んでいると、あなや、という

三日月の声が聞こえた。

下に向けていた顔をあわてて上にあげると、

三日月が大きな壁に顔を埋めていた。

前方不注意のせいで、そこに壁が

あることに全く気付かなかった。

「ああああ、すまん三日月!!」

あわてて背を押していた手を離して

三日月の襟元を掴み、壁から顔を

離させる。

顔に怪我はないみたいだが、

息ができていなかったらしく

クラクラと頭が動いている。

まちがいなく酸欠だ。

「本当にすまん、三日月!

俺が前をよく見てなかったせいで、

壁があることに気付かなくて…」

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