【刀剣乱舞】驚きの毎日を、弐【男主】

驚きの兄様呼び ページ7

明らかに考えるな、という

脳の警告だが、考えは止まらない。

鶴丸は、今は何処にいるんだ?

俺の身体は、一体どうなっているんだ?

もしこの本丸を救うことができたら、

俺は一体どうなる?

鶴丸がこの本丸に戻れる保証は?

もし、俺がこの本丸を救えなかったら?

…おれ、は

「黒鶴!!」

頬に感じた温かい体温に、鋭い声。

ハッとすると、心配そうに俺の顔を

のぞきこむ三日月と目があった。

その瞳には、綺麗な三日月。

「どうした? 具合でも悪いか?」

ペタペタと俺の顔を遠慮なく触る三日月に、

大丈夫だと返す。

また夢で会ったときにでも、

鶴丸に聞いておこう。

今の俺に、答えを導き出せるような

知識はない。

「鶴丸がこの本丸に帰れるかは、

また考えがまとまったら言う。

…それよりきみ、俺が鶴丸じゃないって

分かってたんだな」

それとなく察してはいたが、

こうも明言されるとな…。

三日月は俺の言ったことに当然だ、と

自信満々に胸を張る。

「俺は昔から鶴を見守ってきたからな。

俺のことを三日月の兄様、と呼ばない時点で

分かっていた」

「ほぼ始めからじゃないか!?」

驚いた! と思わず大声で言ってしまう。

でも、おかげで更に鶴丸に近づけた。

鶴丸は三日月の兄様、と呼ぶんだな。

これからは、そう呼ぼう。

「三日月の兄様……うーん、変な感じだな」

試しに呼んでみるが、これが中々

しっくりこない。

兼さんのように呼びまくりたい、と

いう意欲が全く湧かない。却下だな。

「すまん、これからも三日月呼びを

継続してもいいか?」

どうにもしっくりこない、と正直に

暴露すると、あっさりといいぞ、と

言われた。

「俺も、黒鶴に兄様呼びをされると

違和感があるからな。三日月で良いぞ」

「悪いな、代わりになれなくて」

光忠の前では兄様呼びをしないと、

さすがに怪しまれるだろうから

そこは善処するが。

謝罪すると、三日月がふと真剣な

表情になって、俺と距離を縮める。

「なぁ、黒鶴や。お前は何故…」

「鶴丸さま、ここにおられましたか!」

「うわっ!?」

三日月の声を遮るようにして現れたのは、

政府の狐、こんのすけだ。

俺と三日月の間を割って入ってきて、

ドアップな狐顔が俺の視界いっぱいに

ひろがる。

驚いて後ろにバランスを崩すが、

すんでのところで三日月が腕を

引っ張ったおかげで、なんとか体制を

持ち直すことができた。

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