驚きのおっちょこちょい ページ5
別に鶴丸の代わりをすることに対しては
今更抵抗はないんだが、相手側は
そうもいかないだろう。
光忠は、俺が鶴丸とは別刃だと
気付くはずだ。
俺は彼を前に逃げてしまったし、
違和感が発生していてもおかしくない。
「光忠は鶴丸を欲しているんだろう?
なら、俺が別の誰かだということに
気付いてもおかしくないんじゃないか?」
俺は鶴丸とは初対面だし、完璧に
鶴丸に成りきることは難しい。
三日月にも早々にバレてしまったし、
光忠相手なら格段にバレる確率が
三日月より上がると思うんだが。
最もな意見を言ったはずなんだが、
鶴丸な微妙な顔をして頭をかく。
あー…と言ったかと思えば、
実はな、と言いにくそうに声をひそめる。
「ここだけの話、光忠はかなりの
おっちょこちょいさんでな。
Aを俺だと、信じて疑わないだろう」
「…こりゃあ驚いた。
光忠は鶴丸がいなければ立てないほど、
傷付いてしまったんだろう?
普通なら気付くだろうに」
「…光坊は、そういうのに人一倍疎いんだ」
遠い目をする鶴丸に、察した。
安定が誰彼構わず清光と呼ぶのと、
恐らく似たようなものなんだろう。
普通なら可哀想でしかないが、
俺からすれば好都合だ。
どう足掻いたって、
俺が鶴丸の姿をしている限り
正体はバレないんだからな!
「分かった。
できる限り、光忠の隣にいよう。
…だがなぁ、俺は三日月の世話も
見なきゃならないんだ」
鶴丸の望む通りにはいかないかもしれないと
伝えると、それでもいいと返ってきた。
鶴丸としては、光忠の隣に俺がいると
いないとではずいぶんと違うらしい。
時間があれば頼んだ、と輝かしい
笑顔で返されれば、快く了承するしかない。
「…ああ、そうだ」
空間が消え始めてきた頃に、
鶴丸が思い出したように声をかけてきた。
首をかしげると、もうひとつ助言だ、と
お茶目なウィンクをしてきた。
「光忠に怪しまれたら、
『もういいかい』とでも言ってくれ。
それだけで、光忠はきみを鶴丸だと
信じて疑わなくなるだろう」
じゃあな、と寂しそうに笑う鶴丸。
言葉の意味を聞く前に、空間が
ボロボロと崩れ始める。
その空間は、まるで鶴丸の心を
表しているようで。
『鶴丸は、仲間を庇って自らを犠牲にした』
鶴丸のことを聞いたとき、
鳴狐がそう言ったのをふと思い出した。
鶴丸には誰が寄り添うんだろうと
他人事のように考えながら、
俺は眠りから覚めた。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
316人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月珠 - 1から読みたいのでパスワードを教えてください! (2022年12月23日 17時) (レス) id: d908ec33e4 (このIDを非表示/違反報告)
眠民(プロフ) - 1から読みたいのですがパスワードが掛かっていて読めないのでパスワード解除、もしくはパスワードを何処かに書いて頂けませんか? (2022年9月3日 5時) (レス) id: fcb69bf060 (このIDを非表示/違反報告)
?(^^)? - 1から読みたいのですがパスワードを教えていただけませんか?お願いします! (2022年4月21日 22時) (レス) id: 2bcf67198a (このIDを非表示/違反報告)
Rin?^^*(プロフ) - 1から読みたいのですが、パスワードを教えて頂けないでしょうか? (2020年10月11日 14時) (レス) id: ed59144b66 (このIDを非表示/違反報告)
はるかかなた(プロフ) - 一から読みたいのですが、パスワード教えていただけませんか?お願いいたします。 (2020年9月9日 23時) (レス) id: b232e8656d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:師走氷 | 作成日時:2016年8月19日 12時