【刀剣乱舞】驚きの毎日を、弐【男主】

お仕えします、不思議な声 ページ40

「…そんなことはありません」

責任は僕にあるのに、平野はそれを

否定します。

いつもならば、僕の考えたことだからと

肯定してくれるはずなのに。

その時だけは、僕の考えを否定しました。

「前田でなくとも、僕は守ったと思います。

僕はこの本丸に、最後に現れた刀剣です。

主さまがもってらいらっしゃった前田は

既に僕より強く、僕はいつも守られる

立場にありました。

そこに現れた、僕より顕現の遅い刀剣。

鯰尾兄さんたちのように、兄貴風を

吹かせたいと思うのは当然です」

鶯丸様のことは残念ですが、

前田のせいではありませんよ。

そう言ってのけた平野の表情は、

穏やかでした。

嘘だなんて疑う要素が、

微塵もないくらいに晴れやかな表情。

「前田がそれでも責任を負いたいと

思うのなら、せめて僕も協力させて下さい。

前田よりはお兄さんですから、

この本丸の刀剣のことはある程度

知っているつもりです」

「確かに僕は粟田口の末席に座す者ですが、

末っ子というわけではありません。

兄貴風を吹かせてもらっては困ります!」

そこまで言って、平野と僕は同時に

噴き出しました。

初めて自分の意見をぶつけ合い、

初めて兄弟として力を合わせようと

結託した僕たち。

その感覚がこそばゆくて、

楽しかったのです。

散々笑い合ったあとに、僕たちは

ひとまず屋根裏へ戻り作戦会議を

開きました。

そこで決めたことは、浦島さんを

救おうという旨の内容。

しかし、浦島さんのことをよく知らない

僕たちは、一体どのような計画を

立てれば良いのか検討もつきません。

うぅんと頭を悩ませていると、

カタッと屋根裏の板がズレました。

突然音を立てた板に警戒し、

平野と僕は静かに板を見つめます。

「…あーそびーましょ」

「「!!」」

聞こえてきた声は低くて、けれども

無邪気さを含んでいる不思議な声でした。

身を固くして互いに寄り添う僕たちに、

声は続けます。

「勝って嬉しいはないちもんめ。

負けても楽しいはないちもんめ。

浦島は遊び相手が欲しい、兄が欲しい。

あーそーびーましょ、遊びましょ」

そう言って、声は消えました。

平野はどこかで聞いたことがあると

首を捻っていましたが、

すぐに諦めたようです。

「今のアドバイスを参考にして、

もう一度作戦を練り直しましょう。

そして、鶴丸様に協力を要請致しましょう」

それは良い考えですと、平野の考えに

賛成しました。

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