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驚きの壊れ方 ページ28

右も左も分からない、

赤子の状態に似たその記憶に。

__________ああ、驚いたな、と。

彼は本当に壊れてしまったのだと、

理解してしまった。

一期一振とも、兼さんとも、安定とも

違うその壊れ方。

始めからやり直したいという三日月の

願いが、ちらりと見えた気がした。

「おいおい、どうしたんだよ

天下五剣様よぉ」

不動もここまで派手に壊れていたとは

予想していなかったのか、焦っている。

ガクガクと三日月の肩を揺さぶり、

半泣きの状態だ。

不動の焦りなど露知らず、

三日月は天下五剣という言葉に

ピンときていない様子だった。

まぁ、自分の名前すら

よく分かっていない状態だしなぁ。

長谷部が不動を三日月から引き離し、

落ち着かせようと四苦八苦している。

「きみは、名前を覚えていないと

言っていたな」

「ああ。そもそも、俺に名はあるのか?」

自分の生まれまで忘れている三日月に、

名前を教えてやる。

「きみは三日月宗近だ。

長谷部、そうだよな?」

確認をとろうと首を長谷部の方に向けると、

長谷部は不動を抑えていた手を緩めて

ああ、とうなずく。

「天下五剣と呼ばれるすぐれた刀の中でも、

最も美しいとされていた刀が貴様だ」

「なに忘れてやがるんだよ、お前は

色んな人間に愛されてた刀だろ!」

「おい不動、落ち着け!!」

また火がついたように泣き出して

暴れだす不動を、長谷部がねじ伏せる。

まだ気持ちが不安定なのかもしれないな、と

観察するように不動を見ていると、

羽織をくん、と引かれた。

「なぁ、お前の名前はなんと言う?」

好奇心に満ちた瞳に、そういえば

自己紹介をしていなかったことを思い出す。

三日月が元に戻る為には、まず俺が

三日月の心を支えられるような存在に

ならないといけない。

なるべく三日月の傍にいる為には、

やっぱり相互理解が必要だよな!

「俺は黒鶴だ。と言っても、この身体は

鶴丸国永という刀の付喪神のものだが。

きみには特別に、俺の本当の名前を

教えてやろうな」

「本当の名前…?」

三日月が壊れてしまった理由は、

俺が三日月とそれほど親しくなかったのも

ひとつの原因だろう。

俺のことを詳しく話して、お互いに

信用、信頼出来る存在だったと

教えてやれば、三日月はここまで派手に

ぶっ壊れることはなかったのかもしれない。

潜めていた声をさっきよりもうんと潜めて、

三日月の耳に唇を寄せる。

驚きのキャパオーバー→←驚きの笑み


ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです


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月珠 - 1から読みたいのでパスワードを教えてください! (2022年12月23日 17時) (レス) id: d908ec33e4 (このIDを非表示/違反報告)
眠民(プロフ) - 1から読みたいのですがパスワードが掛かっていて読めないのでパスワード解除、もしくはパスワードを何処かに書いて頂けませんか? (2022年9月3日 5時) (レス) id: fcb69bf060 (このIDを非表示/違反報告)
?(^^)? - 1から読みたいのですがパスワードを教えていただけませんか?お願いします! (2022年4月21日 22時) (レス) id: 2bcf67198a (このIDを非表示/違反報告)
Rin?^^*(プロフ) - 1から読みたいのですが、パスワードを教えて頂けないでしょうか? (2020年10月11日 14時) (レス) id: ed59144b66 (このIDを非表示/違反報告)
はるかかなた(プロフ) - 一から読みたいのですが、パスワード教えていただけませんか?お願いいたします。 (2020年9月9日 23時) (レス) id: b232e8656d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:師走氷 | 作成日時:2016年8月19日 12時

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