驚きの優しさ ページ24
優しく諭すように、
また一歩、近づいてくる。
「A。…俺を、見てくれ」
一歩、また一歩。
着実に俺との距離を縮めてくる鶴丸に、
首を振って断固拒絶する。
今は何も聞きたくない、何も見たくない。
逃げだって分かっている。
現実を直視する心の強さなんて、
俺にはない。
…だけど、本当にそれでいいのか?
底から溢れてきたふとした疑問に、
俺はまた考える。
頭痛がしても、考えることはやめない。
俺が鶴丸を拒絶したばかりに、
また壊してしまったら?
あんな風にまた後悔するなら、
どれだけ情けなくても怖くても、
鶴丸の方を向いた方がいい。
「A」
これで最後だと言いたげな鶴丸の
呼び掛けに、俺はようやく鶴丸を見た。
涙は未だに止まらないし、ぼろ泣きだ。
それでも、白い羽織の袖で強引に
目尻を拭って、
しっかりと鶴丸を見据える。
嗚咽は止まらないし、肩は跳ねっぱなし。
格好悪いし、産まれてこの方、
誰かに泣き顔というものを
見せたことがない。
恥ずかしくてたまらなかったが、
それでも、鶴丸を見据える。
そうすると、鶴丸は柔らかく笑った。
三日月にも似た、安心感のある
穏やかな笑顔で俺を見つめる。
「やっと顔を合わせてくれたな、
A」
それにしてもひどい泣き顔だなぁ、と
悪戯っぽく笑いながら俺の目尻を
優しく拭う。
そのときに見た望月の瞳は、
怒りや悲しみの感情は見えなかった。
「つ、鶴丸」
「んー?」
壊れ物でも扱うような優しい手つきで、
俺の目尻を拭う鶴丸の手。
違和感を感じながらも、ずっと
聞きたかったことを口にする。
「鶴丸は、怒ってないのか?」
「…三日月の兄様が壊れたことか?」
こくりとうなずくと、
鶴丸はあなや、と苦笑する。
「なるほどなぁ…。
それで、Aは俺の顔を
見てくれなかったのか」
俺の気まずさを今更ながらに
理解してくれたらしい鶴丸は、
大丈夫だ、と安心させるように
俺の頭を撫でた。
「怒ってはいないさ。
三日月は、遅かれ早かれ壊れる運命だった。
…それが、今日だけだった話だ」
悲しげに伏せられた、望月の目。
だが悲しげな目をしたのはその一瞬で、
次に見たときには太陽を連想させる、
輝かしい笑顔に戻っていた。
「まぁ、三日月のことはきみに任せる。
三日月はかなりAを気に入っていた
様子だったから、また元に戻れる
可能性もあるさ」
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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月珠 - 1から読みたいのでパスワードを教えてください！ (2022年12月23日 17時) (
レス) id: d908ec33e4 (このIDを非表示/違反報告)
眠民(プロフ) - 1から読みたいのですがパスワードが掛かっていて読めないのでパスワード解除、もしくはパスワードを何処かに書いて頂けませんか？ (2022年9月3日 5時) (レス) id: fcb69bf060 (このIDを非表示/違反報告)
？(^^)？ - 1から読みたいのですがパスワードを教えていただけませんか？お願いします！ (2022年4月21日 22時) (レス) id: 2bcf67198a (このIDを非表示/違反報告)
Rin?^^*(プロフ) - 1から読みたいのですが、パスワードを教えて頂けないでしょうか？ (2020年10月11日 14時) (レス) id: ed59144b66 (このIDを非表示/違反報告)
はるかかなた(プロフ) - 一から読みたいのですが、パスワード教えていただけませんか？お願いいたします。 (2020年9月9日 23時) (レス) id: b232e8656d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：師走氷 | 作成日時：2016年8月19日 12時
