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驚きの…驚きの、大罪 ページ23

目を開けると、そこはまた

夢の世界だった。

「…ついに、壊れてしまったか」

低い、悲しげな感情を含んだ声が

俺の耳に届く。

誰かなんて、後ろを振り向かなくても

分かる。…鶴丸だ。

鶴丸は独り言のように、泣き言のように

話し始める。

「兄様の闇は、

それほど深かったということか。

俺でさえ気付かなかった、その闇。

……教えてくれたのなら、

助けられたかもしれないのになぁ」

鶴丸の表情は、今の俺の立ち位置からじゃ

まるで見えない。

悲しい顔をしているのか、怒っているのか。

…はたまた、その両方か。

「きみも気付かなかっただろう、

A?」

問いかけられても、返事はできない。

俺は、選択肢を間違えた。

痛みを知りながらも、間違えた。

現実はゲームと違って、

コンテニューなどできやしない。

間違えては、いけなかったのに。

「……ごめん、鶴丸」

謝ってしまえば、

あとはもう声にならなかった。

自分は最低なことをしてしまったのだと、

嫌でも分かってしまった。

罪を認めた瞬間、初めて自分のした

罪の重さがわかった。

これじゃあ審神者と同じじゃないかと

自分を叱ってみても、目から溢れてくる

水は…涙は止まらない。

「俺は、俺はひどいことをした。

最低だ、驚きなんてものじゃない!!

人を、壊してっ、こわっ…!!」

決して、鶴丸に涙は見せない。

顔を覆って、その場に崩れ落ちる。

鶴丸は何も言わない。

聞こえるのは、俺の嗚咽だけだ。

大罪をおかした、罪人の嗚咽。

人との関わり方なんて、

本当はこれっぽっちも知らなかった。

知っているのは人を驚かせる方法と、

自分を明るく見せる方法のみ。

誰も退屈しないように、見限らないように。

過去に置いていかれた俺の、

置いていかれない為の他人との

関わり方しか、知らない。

ずっと病院に籠っていたんだ。

友達なんて一人もいなかった。

いつも一人で、消毒液の匂いしか

嗅いだことはなくて。

何も知らなかった俺でも、

唯一、痛みだけは知っていた。

痛みだけは、何も言われずとも

よく分かった。それなのに。

「救いたいって、思った、のに。

結局、なに、も。出来な、かった…!!」

一番分かっていたはずのものさえ、

もう分からなくなっていた。

俺に残っているものはなんだ。

俺は、何をどうすればいいんだ。

「…A、俺の方を向いてくれ」

泣くことしかできない俺に、

鶴丸は静かに一歩、足を踏み出す。

驚きの優しさ→←驚きの…嗚呼、驚きの


ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです


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月珠 - 1から読みたいのでパスワードを教えてください! (2022年12月23日 17時) (レス) id: d908ec33e4 (このIDを非表示/違反報告)
眠民(プロフ) - 1から読みたいのですがパスワードが掛かっていて読めないのでパスワード解除、もしくはパスワードを何処かに書いて頂けませんか? (2022年9月3日 5時) (レス) id: fcb69bf060 (このIDを非表示/違反報告)
?(^^)? - 1から読みたいのですがパスワードを教えていただけませんか?お願いします! (2022年4月21日 22時) (レス) id: 2bcf67198a (このIDを非表示/違反報告)
Rin?^^*(プロフ) - 1から読みたいのですが、パスワードを教えて頂けないでしょうか? (2020年10月11日 14時) (レス) id: ed59144b66 (このIDを非表示/違反報告)
はるかかなた(プロフ) - 一から読みたいのですが、パスワード教えていただけませんか?お願いいたします。 (2020年9月9日 23時) (レス) id: b232e8656d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:師走氷 | 作成日時:2016年8月19日 12時

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