【刀剣乱舞】驚きの毎日を、弐【男主】

驚きの惨状 ページ21

妖精は俺の言わんとすることを

理解したのか、やる気に満ちた表情で

親指を立ててきた。

任せろってことだな。

鶴丸の話だと、手入れで消費する

霊力は回復するらしい。

なら問題なく、大盤振る舞いで

霊力が使えるはずだ。

「長谷部と不動が問題なく顕現できて、

動ける状態までに持っていってくれ」

妖精がらじゃー、というポーズをして

返してくれる。

たくさんの妖精が集まって、資源を

せっせと運ぶ姿は愛らしい。

妖精の一人が板みたいなものを

差し出してきたので、無言でうなずく。

何の板なのかは知らんがな!

「おい、何故妖精が動いている?」

長谷部は状況が理解できないのか、

守るようにして小さな刀…不動を

胸の辺りで握る。

何故って…

「手入れする為に決まってるだろう。

おとなしく手入れ部屋で待ってろよ?」

刀剣たちも霊力を持っていると、

鳴狐が言っていた。

博識な鳴狐は、刀剣たちの持つ

霊力について分かりやすく教えてくれた。

『刀剣の霊力は、自身の存在を

保つ微量な量しかない。

刀剣の霊力で手入れをするのは、

まず無理』

言葉が少ない鳴狐だが、その時だけは

詳しく丁寧に、何かを悔いるように

話していたのを覚えている。

俺は刀剣の姿こそしているものの、

霊力は人間の量がある。

この本丸で手入れが出来るのは、

あの審神者と俺だけだ。

資源を使うことに抵抗があるのか、

手入れ部屋を出ていこうとする

長谷部をなんとか押しとどめて、

俺は部屋を出て廊下を走る。

三日月が軽く発狂していたのを、

すっかり忘れていた。

一期一振の部屋の前までたどり着くと、

それはもう惨状だった。

一期一振は刀を振り被った体制で

その場に立ち、

前田はそんな一期一振の腰に必死に

抱きついている。

ひどいのは、三日月だ。

「まただ。まただまただまただまただまた」

苦しげに顔を歪め、壊れたように

同じ言葉を繰り返している。

「鶴も黒鶴も、消えた。

みんな俺を残して消えていく。

消えた消えた消えた消えた消えた消えた!!

ああああああああ黒鶴黒鶴黒鶴黒鶴黒鶴」

「落ち着いて下さい、三日月様!!」

狂ってしまったように髪をかきむしり

頭を振る三日月に、正気を取り戻そうと

揺さぶる平野。

鶴丸は、俺に身体を渡したばかりに消えた。

黒鶴は、長谷部に抱えられ

その場を離脱した。

「鶴丸様、三日月様が!!」

俺の姿を発見した平野が、助けを

求めるように俺を呼ぶ。

驚きの…嗚呼、驚きの→←驚きの発狂率

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