【刀剣乱舞】驚きの毎日を、弐【男主】

驚きの頑張り ページ17

息が乱れているが、

聞き取れる声でここだ、と

部屋を指差した。

何が何だか全くわからんが、

道中の会話の内容から察するに

ここに一期一振がいるんだろうか。

一応ありがとうとお礼を言うと、

すまん、と謝られた。

「はぁ、はっ…黒鶴に、迷惑をかけたな…

本当に、はっ…すまなんだ」

機嫌が悪く意地になっていたことを

反省したらしく、一期一振のところに

連れてきてくれたのも、謝罪の

延長線上の行いだそうだ。

確かに、一期一振のところへ

連れてきてくれたのは嬉しい。

だがなぁ、俺と三日月が一期一振と

話しても、解決しないと思うんだよなぁ…

三日月の頑張りを無駄にしたくはないから、

そんなことは言わないが。

だからふんわりと、三日月を

傷付けない程度にお願いをする。

「一期一振のところに連れてきてくれて、

本当にありがとうな。

おかげで探す手間が省けた。

ついでと言っちゃあなんなんだが…

もしきみさえ良ければ、前田と平野を

連れてきてくれるかい?

一期一振も、俺たちなんかよりも

弟と話したいだろうしな」

遠回しに遠回しに伝えると、

三日月はお願いされたことが

嬉しかったのか、あいわかったと

いい返事をしてくれた。

ばたばたと廊下を走る三日月に

転けやしないかと冷や冷やしたが、

問題は俺の方だな。

このまま弟たちが来るまで

放っておくというのも1つの手段だが、

俺は悲鳴に近い叫び声を聞いてしまった。

放っておくのは、少し抵抗がある。

だからと言ってこの部屋に入れば、

警戒されるどころかさらに発狂される

可能性も捨てきれない。

驚きを与えるのもいい案だとは思ったが、

発狂者相手にそれは大丈夫なのかと

つっこみたくなる。

…考えすぎて頭が痛い。

発狂されたら前田たちに

あとを任せる、というのが

一番理想的か。

他力本願だが、これ以上考えるのも

嫌だし最善の案だと言い聞かせる。

勢いよくすぱぁんっ、と障子を開けると、

シュンッ、という音がまた聞こえた。

その音と同時に、俺の腕が何かに

引っ張られて、体制が後ろにそる。

すると驚くことに、さっきまで

俺がいた場所に刀が振りおろされていた。

これ、体制が後ろにそれてなかったら

痛かったパターンだな。

うわ、あ、と冷や汗ダラダラで

意味のない言葉を発していると、

またしても腕を引っ張られた。

また体制を崩して、今度は後ろに横転する。

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