【刀剣乱舞】驚きの毎日を、弐【男主】

驚きの光忠捜索隊〜閉幕〜 ページ12

潰れている三日月に

何か飲ませた方が良いと

判断した光忠は、文句も言わずに

厨の方へ歩き出す。

手持ちぶさたな俺も、光忠のあとに続く。

「う…うう〜…」

「もう少し我慢してくれ、三日月」

ひたすらにうめく三日月にそう声を

かけるが、多分聞こえていない。

顔色がひどく悪く、顔面蒼白だ。

目を瞑って下を向いているが、

その体制だと更に気分が悪くなると

思うんだがな…?

少しでも楽になるように霊力とやらを

供給してみるが、一向に気分が

良くならない。

そもそも霊力、送れているのか?

…って、霊力を消費しちゃ駄目だろう

俺! 寿命を自ら縮めてどうする!

あわてて三日月の額に当てていた

手を離すのと、光忠が心配そうに

三日月を見やるのは入れ違いだった。

「三日月さん、今までろくに部屋から

出なかったから、体調崩しちゃったんだね」

担ぎ方を変えようとしているのか、

色々な体制を試そうとしている。

しかしその度に三日月が苦しげな

声を発するから、

結局は何も出来ずにいる。

光忠もこの体制がキツいだろうってことは

分かっているんだろうな。

今は動かさない方が賢明だが。

体制を変えるのは諦めるとして、

俺が気になるのは光忠のさっきの発言だ。

「みか…兄様は、部屋から出ないのか?」

危うく三日月と言いかけたが、訂正する。

やっぱり違和感が尋常じゃないが、

正体がバレるわけにはいかないからな。

光忠は俺の質問にうん、とうなずく。

「三日月さんが戦に出してもらえない事は、

鶴さんも知ってたでしょう?

今の審神者に支えることになってからは、

三日月さん、満足に部屋から出ることも

許されなくなったんだよ」

部屋にいてばかりだったから、

外の空気に体が慣れないみたいで。

そう続けた光忠に、納得する。

三日月の気分が悪くなったのも、

それが原因か。

そういえば、確かにそれと似たようなことを

言っていた気がする。

はて、なんと言っていたのやら。

不殺がどうのとか、美しさで実用性が

なんたらとか…

難しいことを言っていたような気もする。

置いていかれるということに対して

不安を覚えているような物言いを、

俺にしていたことは覚えている。

…心配せずとも、俺は三日月を

置いていったりなんてしないのに。

誰かが泣く驚きなんて、いらない。

「三日月は、一人じゃないさ」

聞こえていないと分かっていても、

そう言わずにはいられなかった。

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