【刀剣乱舞】驚きの毎日を、弐【男主】

驚きの受け売り作戦 ページ2

鳴狐と共に考えた

一期一振救出作戦を、みんなに話す。

「一期一振なんだがな。

もしかしたら、前田と平野の頑張り次第で

今の状態から救えるかもしれないんだ」

全て鳴狐からの受け売り作戦だが、

前田と平野は俺に尊敬の眼差しを向ける。

キラキラとした無邪気な視線が、

嘘を吐いている俺にとって辛い。

ああ、鳴狐の手柄だと話してやりたい…!

「僕たちが頑張ったら、いち兄は

また笑ってくれますか?」

「僕は、いち兄に会ったことはありません。

今どのような状況にあるのかも、

平野よりも知りません。

…ですが、救えるのならば救いたいです!」

葛藤している俺の内心など露知らず、

健気に兄を救う決意をする二振り。

…兄弟愛というものは、美しいな。

温かい気持ちで二振りを見ていると、

三日月が具体的な説明を求めてくる。

「一期はかなりひどい状態にあるぞ?

体はもちろん、心もボロボロだ。

…一期から正気を取り戻すのは、

かなり難しいであろう」

痛みを堪えるように目を伏せる、三日月。

彼は前田や平野と違い、

ずっとこの本丸を見続けてきた。

一期一振が変わっていく姿も、

彼の弟たちが折られていくときも。

…ずっと、見てきたんだろう。

俺は昨日本丸に来たばかりだし、

本丸についての話なんて、

前田たちと鳴狐から聞いたごく一部分。

何も知らない俺だからこそ、

きっと『救おう』などと言えるんだろう。

無責任だろうがなんだろうが、

何でも提案したもの勝ちだ。

「大丈夫だろう。

前田と平野は、一期一振の大切な

弟たちだからな。

驚きのあまり、飛び上がるだろうな!」

いやぁ見物だ、とケラケラ笑うと、

前田と平野もつられて笑う。

「鶴丸様も協力して下さるから、

絶対いち兄、驚いてくれます!」

「漫才でもしますか?

僕、座布団が出てくるものなら

見たことがありますよ」

「はて、それは笑点ではなかったか」

三日月も、暗い顔からほわほわした

柔らかい笑顔に変わる。

前田は笑点が分からなかったらしいが、

平野と三日月はこうしよう、

ああしようと楽しそうだ。

鬱状態の一期一振に笑点を見せても、

何の反応も示さないと思うんだが…

「とにかく! 一期一振救出作戦、

前田と平野はひたすら笑顔でいこう。

反応が返ってこなくても、笑顔でな?

決行は、明日だ」

にっこりと笑って、人差し指を唇に当てる。

笑顔というのは、向けられるだけで

警戒心が削がれるものだからな。

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