驚きの集合率 ページ1
屋根裏に続く押し入れを
そっと覗くと、何やら三日月が
安心しきった表情をしていた。
前田と平野は頬を赤く染めて興奮ぎみだし、
兼さんは安定を押しとどめるのに必死だ。
中々に個性が出る屋根裏だな、驚きだ。
唯一誰とも接していない三日月に
そろっと近づき、わっ、と驚かす。
かなり驚いてくれると思ったんだが、
予想外の反応が返ってきた。
「おお、黒鶴か。お帰り」
にっこりと、ほわほわした笑みで
俺を迎え入れる三日月。
…全く驚いていない。
「ああ、ただいま。
…きみ、もうちょっと驚いてくれよ。
手応えがなさすぎて、つまらない」
思っていることをそのままぶつけると、
三日月がははは、と笑う。
「すまんなぁ。
俺は、あまり驚かないタイプなんだ」
まさかのカミングアウトに、
肩の力が抜ける。
どかっと三日月の隣に腰をおろし、
はあぁ、と深いため息を吐く。
「つまり、きみは何をされても驚かないと?
…一体何を楽しみに生きてるんだ…」
驚きこそが、退屈を凌ぐ唯一の行動なのに。
俺の言い分を三日月は楽しそうに
聞きながら、そういえば、と
話を振ってくる。
「黒鶴は、審神者から逃げ切れたのか?」
帰りが遅いから心配したぞ、と
まるで母のようなことを言う三日月。
俺は幼児か!
そう言ってやろうと思ったが、
三日月から見れば俺は十分幼児だった。
下手に言い返すことは諦めて、
落とし穴に嵌まったことを伝えた。
鳴狐のことを伝えようと思ったんだが、
去り際に鳴狐が誰にも喋るなと
釘を刺してきたから、言えなかった。
結果、俺がただ間抜けなことをした
部分だけを話すことになってしまう。
解せない!
その話を聞いた三日月がまた黒鶴らしいと
声をあげて笑うものだから、解せない。
三日月の笑い声で俺の存在に気付いたのか、
前田と平野が鶴丸様、と
俺に抱きついてくる。
知らない間に、かなりなつかれたらしい。
「心配致しましたよ、鶴丸様!
急に姿が見えなくなって…」
「でも、僕たちが下に降りれば
審神者に見付かってしまいますし。
困ったんですよ!」
何も言わずに出ていったのが、
一番の原因だったようだ。
やっぱり、何も言わず出ていくのは
さすがにまずかったか…
「すまんすまん。
だが、おかげで驚きの作戦を
思いついたんだ」
聞いてくれ、と三日月を前田たちの
周りに移動させる。
兼さんたちは忙しそうだったから、
そっとしておいてあげた。
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あずきいろ
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西 - この方角に福があるはずです
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月珠 - 1から読みたいのでパスワードを教えてください! (2022年12月23日 17時) (レス) id: d908ec33e4 (このIDを非表示/違反報告)
眠民(プロフ) - 1から読みたいのですがパスワードが掛かっていて読めないのでパスワード解除、もしくはパスワードを何処かに書いて頂けませんか? (2022年9月3日 5時) (レス) id: fcb69bf060 (このIDを非表示/違反報告)
?(^^)? - 1から読みたいのですがパスワードを教えていただけませんか?お願いします! (2022年4月21日 22時) (レス) id: 2bcf67198a (このIDを非表示/違反報告)
Rin?^^*(プロフ) - 1から読みたいのですが、パスワードを教えて頂けないでしょうか? (2020年10月11日 14時) (レス) id: ed59144b66 (このIDを非表示/違反報告)
はるかかなた(プロフ) - 一から読みたいのですが、パスワード教えていただけませんか?お願いいたします。 (2020年9月9日 23時) (レス) id: b232e8656d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:師走氷 | 作成日時:2016年8月19日 12時