第8話：天空の太陽 ページ8
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｢不機嫌な弔くんに〜……はい、お土産。Diorのリップバーム｣
ふにゃりと笑いながら、白を基調とする洗練されたシンプルなショッパーを死柄木へ差し出した。
｢なにこれ、甘いもん?｣
｢あは、違うよ。唇に塗るの｣
｢……？｣
受け取ろうとしない為、仕方なく自主的に箱からそれを取り出した。スティックをくるくる回して顔を出すのは、数量限定色のナチュラルベルベット。
｢そんなの要らない、女みたいなことしたくない｣
｢馬鹿言え。吉沢亮くんが広告塔なんだぞ｣
ショッパーの中には複数枚の販売促進チラシが入れられており、そこにはAと同じリップを持った端正な顔立ちの俳優がこちらを見ていた。
｢絶対持ってた方がいいわ、貰っておきなさい｣
｢さっすがマグ姉、分かってるぅ〜｣
ずい、と近付きリップ片手に死柄木との距離を縮める。
後退りすればその分だけ近づき、じりじりと追い込み、死柄木の背中は、やがて壁にぶつかった。
｢自分でやるから貸せ｣
｢あーもう、横じゃなくて縦塗り！もっと丁寧に！｣
｢うるっさい｣
大の大人が、唇の保湿ひとつで大わらわ。
死柄木が慣れない手つきで塗る様子を正座で見ているAは過保護な親の顔をしている。
｢俺がやってあげるって｣
｢やだ、男にこんなことして欲しくない｣
｢はい女になったから、ね！｣
｢(切り替わり早……)｣
油断した死柄木から素早くリップを奪い、ほぼゼロ距離まで詰め寄ったAは柔らかな手つきで丁寧にそれを塗った。
観念したように目を閉じ、大人しく従順にされるがまま主導権を握られている死柄木を見るのは珍しい。
｢ほい終わり。唇ぱっぱってして、馴染ませる感じで｣
｢んん〜……｣
｢よし、良い子｣
Aが角度を変えて口付けた。
驚いて顔を真っ赤に染めた死柄木は、思わず手の甲で口元を隠す。
｢あ〜リップ落ちちゃうよ、せっかく塗ったのに｣
｢お前のせいだろ……！｣
｢あは、キスして欲しそうな顔してたからさ｣
｢してない｣
基本的に照れ隠しのため否定する死柄木だが、大抵はAの主張が正しく、こういった類の会話を1日5回は見かける。
｢Aちゃん、私にお土産は無いんですか？｣
｢あるよ〜、お揃いのヘアピン｣
枯野色の前髪を適当に分け、ぱちりと固定した姿は普段と雰囲気が変わってとても可愛らしい。
｢Aちゃんもカアイイのです♡｣
｢ありがと｣
それに倣いAも前髪を上げた。まるで女子校の昼休みのようだ。
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
