第37話：リアリズムの神様 ページ37
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遅れて自室に入って来た荼毘は、存在の確認をするようにベッドに横たわるAを抱き寄せた。
｢リーダー、今年一番キレてたぜ｣
｢弔くんなら赦してくれるよ、多分｣
荼毘の腕の中で少し眠そうに答えるAは安心しきった表情で小さなあくびをする。
｢ありがとう荼毘くん、お願い聞いてくれて｣
｢別に｣
素直になれない彼に触れるだけのキスをしたAは、あっという間に眠り込んだ。
艶のある髪をそっと撫でると妙にバニラの香りが漂い、堪らなく理性を揺さぶる。
なぜ急に群訝山荘外へ出たがったのか、どうしてホークスと3人で行動する必要があったのかは、どれほど問い詰めても吐かせられずに終わった。
｢……お前の望みが叶ったンなら良いけどよ｣
気がつけば荼毘も、まどろみに落ちていた。
＊＊＊
不気味な機械音の響く仄暗い室内は薬品やアルコールの臭いが充満し、思わず眉を顰めてしまうほどである。
｢連れてきたぞ、ドクター｣
｢なぬ、その小娘がAかッ！？｣
殻木はボソボソ小言を呟きながら手に持った大量の書類を落とした。
血相を変えて死柄木の後ろに隠れたAの腕を掴み、強い力で引き摺り出すと興奮を隠すことなく執拗に体を触診をすると、息つく間もなく巨大な機械で解析を始める。
｢あぁ、夢にまで見た……！｣
｢うー、随分と強引で嫌だなぁ｣
個性特異点の提唱だとか、究極体を完成させるだとかを叫び目を充血させながら、大きな端末に膨大な文字を入力する殻木は再度Aの姿を一瞥した。
｢禁断の姫君よ、こちらの手術台へ｣
｢え、禁断の……なんて？｣
｢ちょっと待て｣
不機嫌な顔をした死柄木は五指を殻木の顔先に突き出し、噛み付くような声で話が違うと啖呵を切る。
｢互いに会いたいって言うから組織長として2人を面会させただけだ。そもそも、Aに触れて良いなんて許可してない｣
｢おーおー青いのぉ、死柄木弔｣
殻木は嘲笑しながらAから手を離すと、古びたスツールに腰を下ろした。
｢単刀直入に言う。ワシはAの“個性因子”が欲しい｣
｢はァ？何言ってンだドクター｣
死柄木の膝の上にちょこんと座ったAは興味無さげに一人大騒ぎする殻木を見つめる。
｢えー、なんで？“個性”使えなくなっちゃうよ｣
｢禁断の姫君よ、お前の特異体質でしか叶えられない夢があるんじゃ...｣
｢だから何なのさ、その呼び方｣
酷く耄碌じみた殻木の表情は切実で、蔑ろにする気すら起きない程だった。
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
