第34話：リターン・トゥ・片田舎 ページ34
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｢ふぁ〜、眠くなっちゃうね｣
｢抱き潰すぞ｣
｢うぐぅ……力加減とかどうにかならないの荼毘くん｣
かぽぉん、と立て掛けた手桶が滑り落ちる音が響く中、ホークスは一人ドギマギしていた。
｢温泉はさぁ、貸切風呂が1番だと思わない?｣
｢そ、そうですね……たぶ、ん｣
動揺を隠すように顔の下半分までお湯に浸かり、おもむろに目を遣ると、Aと荼毘は駄々広い檜風呂の隅でぴたりと身を寄せ合いながら睦み合っていた。
どうして、こんなことになってしまったんだろう。
再度やり場のないこの感情を抱きながら、ごぼごぼ泡を立てて吹き出す湯口を見つめた。
『美味しいものを食べたあとは温泉だよね』と豪語するAに為す術なく着いて行った結果がこれだ。
｢あはっ、スキあり｣
｢ちょ……なんですか急に!!｣
｢ホークスさんが可愛いから、つい｣
荼毘の体からぬるりと離れ、ホークスの腕にたわわな胸を宛てがうAは慣れた手つきでちゅっちゅ、と唇を食みながら舌を吸う。
｢ついって……！｣
｢でも、気持ちいいでしょ｣
この歳にもなって寵愛する女性、ましてや年下の少女に絆されるなんて思いもしなかった。
引き寄せるように背中を擦りながら、ちゅ、と唇を重ね合わせた刹那、ホークスの肩がビクンと震えた。
｢待っ……息、できな、っん……んん、｣
はむ、と口づけを深くするとAの舌が誘い出すように絡まり視界と理性が音を立てて崩れ始める。
あぁ、ここの温泉が濁り湯で本当によかった。
｢あら、お顔真っ赤だ。のぼせちゃうね｣
｢ううぅ、誰のせいで“こんなこと”に……｣
｢あ〜〜のさァ、｣
ふと視線を向けると、鬼よりも恐ろしく冷たい表情をした荼毘が此方を見ていた。
｢ひッ｣
思わず両翼で防御の体勢を整えると反動によってAの柔らかな双丘が、もにゅと押し付けられる。
｢少しは学習しろ、馬鹿｣
｢んもぅ、ただのスキンシップなのに〜｣
強引に翼を退け、半ば乱暴にホークスからAを引き剥がした荼毘は彼女を姫抱きにし、じゃばじゃばと荒っぽく波を立てながら脱衣所へ向かった。
｢(落ち着け、落ち着け俺……)｣
何度か濁り湯を手で掬い、自我を呼び覚ますように顔を擦った。気が付いたらいつも向こうのペースに嵌められている。
上がり湯をそのままに、空調の効いた脱衣所ではAが荼毘の髪をドライヤーで乾かしていた。
｢ホークスさんにもやってあげるねっ｣
振り返る彼女は、どこか寂しそうに笑った。
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
