第28話：Safe zone ページ28
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｢あ、外典くん。ケーキ手作りしたんだよ〜、食べる？｣
｢げっ｣
｢会って早々に出る言葉がそれって酷過いなぁ｣
ダークブラウンのトレーに載っているティラミスを手で掴み取り、乱暴に食い散らかしたところでAは慌てて外典から皿を遠ざけた。
｢ちょっと勘弁して！私がどれだけ盛り付けにこだわってるか知らないでしょ｣
｢79点くらいだ｣
｢そりゃ幹部の人たちと毎日食事してたら、舌も肥えるでしょうねぇ？！｣
ぐしゃぐしゃになったティラミスを半泣きで見つめるAの様子を見て、花畑が憐れむようにリンツァートルテを一口味見し、感嘆の吐息を漏らす。
｢……これはこれは。安心してください、プロ顔負けの味ですよ、プロイビート｣
｢そりゃどーも……孔腔さん、彼に食事マナー教えなかった責任は大きいよ｣
｢聞かないのですよ、リ・デストロのお言葉以外は｣
｢Right!! I've had enough!!｣
ぽかんと口を開ける外典に、花畑は「もううんざりだと仰られてますよ」と律儀に耳打ちをする。
｢それより何故お前は戦わない？優秀な異能を死蔵する人間は愚かだ｣
｢え〜何、私も戦力になれって？……あは、無理無理｣
外典の口端に付いたティラミスを拭い舐め取ったAは｢私はスイーツ担当なの｣と軽快な笑顔で答える。
｢美味しいものを、大好きな人と食べるのが1番なのさ｣
｢……難儀な奴だ｣
｢これ力也さんに差し入れといて〜｣
Aはフォンダンショコラと赤ワインを花柄のトレーに載せ直し、不服そうに呟く外典に押し付けた。
＊＊＊
｢タルトしか勝たんのです｣
｢ミルフィーユ甘えな！塩っぱいぜ？｣
手作りしたケーキを美味しそうに頬張る2人を見て、Aは微笑ましそうに紅茶を注いだ。
｢……やっぱり連合の皆が落ち着くや｣
｢ふふ、珍しくAちゃんが甘えたですねぇ｣
トガはフォークをテーブルに置き、優しくAを抱きしめる。お互いの鼓動が規則正しく跳ね、柔らかな呼吸音は2人の心を解していく。
｢俺を仲間外れにするなよ〜トガちゃん、A！｣
｢わっ。仁くん、くすぐったーい！｣
｢あははっ！Aちゃんは脇腹が弱いのです｣
きゃらきゃらと笑うAにつられ、トガやトゥワイスも声を上げて戯れ合い始めた。
目尻に涙を浮かべたAは噛み締めるように｢幸せだ｣と声を漏らす。
｢私、皆のことが大好きだよ｣
その言葉に2人は目を合わせ、笑い合った。
｢トガもです｣
｢当たり前だろ、俺も大好きだ！｣
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第29話：アントニム・バイ・ミー→←第27話：ノイジーナイト
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
