第14話：来来来世 ページ14
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｢死ねないって……｣
コンプレスが詰まった声色で復唱する。
懇々と語り出すAの過去は実に怪奇で、虚言だと言われてもおかしくないような経験の数々だった。
｢工事中の足場から鉄パイプが落ちてきたり、玉突き事故に巻き込まれたり、
｢凄いというか不運なのです｣
｢気の毒だな？強運だろ！｣
Aを見るトガの表情は非常に訝しげで、信頼しつつもどこか影を落とした瞳をしている。
｢……俺、今まで海外を転々としてたんだよね｣
｢あ〜言ってたなァ。ヤケにグローバルな奴だと思ったぜ｣
スピナーがサバイバルナイフを研ぎながら相槌を打つ。
｢そこでさ、日本じゃ生涯かけても手に入ンないような額の大金を荒稼ぎしてたの。幸せになりたくて｣
一体何してたんだ、と問いかける死柄木に愛らしく｢内緒♡｣と答えるAは異様に優しい笑顔だった。
｢だ〜から毎日遊び歩いては色んなモン買ってきてたのね……｣
コンプレスに柔らかな手つきで頭を撫でられるAは気持ちよさそうに目を細めた。
｢んで、ウン千万円あった銀行口座を凍結して帰国ってか｣
｢わ、荼毘くん｣
遅れて合流した荼毘はペラペラと1枚の紙を揺らしながらそれを死柄木に渡し、古びたソファに腰掛けた。
｢死亡届……？｣
書き漏らしせず、恙無く受理されたであろう書類のコピーに目を通した死柄木は、溜息を吐きながら首を掻いた。
｢A、お前マジで何者なんだ｣
｢……しがない、女の子｣
｢死んだと見せかけた意味は｣
｢色々と融通が効くのさ｣
死柄木が読み終えた書類を素早く奪う。
当然のように荼毘の膝に座り直すAを、彼は流れるように後ろから抱き、気怠そうに彼女の肩へ顎を置いた。
｢お金で買える幸せは一通り手に入れたからさ、今度は大切な誰かと幸福になりたいと思ったの｣
でもダメだった、と涙を流しながら連合の皆を一人ひとり見つめるAは、緊張の糸が切れたのか遠慮がちに笑った。
｢結局、“私だけ”守られて。みんなが辛くて痛い思いをするんだ｣
｢Aは実質“個性”複数持ちで、妙ちきりんな運命がお前を守ってるって認識で正しいのか｣
｢……そうだね。それを“
死柄木は何処か腑に落ちたように息を吐く。
｢ま、別にいいだろ｣
連合は、どんな過去を抱えていようとも、ありのままの彼女を再び優しく迎え入れた。
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
