第13話：大きな愛の歌 ページ13
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｢圧紘さん、圧紘さぁん……｣
嗚咽しながら腕を伸ばし、コンプレスに抱きついた。
｢どうしたA坊、泣くなって〜｣
抱きしめ返そうとAの背中へ手を回す彼の左腕には、仰々しい部品で構成された義肢が装着されていた。
｢俺が庇えてたら、またハグしてくれたでしょ｣
｢ハグなんて年中無休でしてやるさ。それとも何、義肢じゃ不満かい？｣
｢圧紘さんの腕がよかった｣
｢あは、わがままな坊ちゃんだなァ｣
右手の親指でAの涙を拭うコンプレスは困った顔で笑う。
｢見て、ドライフラワー完成したんだよ｣
｢....凄く綺麗だ。プレゼントした甲斐があるね｣
差し出された薔薇を受け取ると、ふわりと柔らかな香りが広がる。
｢俺さ、5本の薔薇の意味調べたんだ｣
それは、“あなたに出会えた事を心から喜ぶ”。
コンプレスは、その通りだと言うようにこくりと頷いた。
｢ずるいよ圧紘さん、そうやって紳士な態度で自分ばっかりさ....｣
｢ちょっと待てA坊、俺に死亡フラグ立てないで？おじさん、まだ全然生きるからね？！｣
神妙な面持ちをするAの言葉を慌てて否定するコンプレス。
連合メンバーに助けてと視線を送るも“まぁ頑張れ”的なジェスチャーで返され、己の運命を悟ったようだ。
｢しかしAは毎度毎度、タイミング良くその場に居合わせねぇよな｣
｢……言ったろ、俺の“個性”だ｣
コンプレスと距離を置き、数秒前まで泣いていたのが嘘のように冷淡な声色でスピナーに返事をしたAはパーカーのポケットに手を突っ込んだ。
｢私の家系ね、高祖父母から両親まで、ずーっと“無個性”だったの｣
｢やっぱりAちゃん、性別が安定してないのです｣
｢マグ姉が殺られてからずっと情緒不安定だ！今だけだろ？｣
｢それより“無個性”って……｣
各々の心情が吐露される中、Aは出会った当初のような目付きで笑いながら買い溜めしていた板チョコを齧った。
｢馬鹿みたいにさ。これまでの反動を僕に押し付けてきたんだ、運命は｣
ひと口齧ったチョコを地面に落とし、何かを恨むように執拗に踏み躙るAの顔は、これまでにないほど悍ましいものだった。
｢恐らく“性別転換”と“猫化”、“テレポート”は本来、俺の親族が持って生まれて来る筈だったんだ｣
この場にいる全員が固唾を飲む。
｢なのに何の因果か知らないけど、全部アタシのモノになっちゃった｣
極めつけは、その一言だった。
｢私、死ねないんだよね｣
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
